精霊戦隊エレメンツ
エピローグ
−それぞれがそれなりに−
その後、EGSのメンバーや他の人達がどうなったかと言うと...........
「野村先輩、何してるんですか!!早く行かないと映画終わっちゃいますよ!!」
「分かった!分かったからそんなに引っ張るなよ、花織ちゃん」
花織に手を引っ張られながらたかしが苦笑する。
「何言ってるんですかぁ!先輩が寝坊して待ち合わせ時間に遅刻するから急がなくちゃいけなくなったんですよぉ!」
「ぐっ!それを言われると....」
「とーぜん、今日は全部先輩のおごりですからね!遅刻した罰です!」
悪戯っぽく微笑む花織にたかしが絶叫する。
「うぉぉぉぉぉ!俺の熱い魂とは裏腹に懐が寒がっているぅぅぅぅぅ!!」
「あーあ、結局シャオリンに負けちゃったわねぇ......おやじさん、熱燗一本追加!」
「ルーアン先生、飲みすぎですよぉ。それでもう10本目ですよ!」
やけ酒を浴びるように飲むルーアンの横で乎一郎が心配そうに言う。
「いいのよ、あたしみたいな駄目精霊は酔っぱらってくだ巻くのがお似合いなのよ」
「そんな!先生は駄目精霊なんかじゃありません!少なくとも、少なくとも僕にとって
は先生は輝く太陽みたいな女性なんです!」
乎一郎が顔を真っ赤にして言う。
「遠藤くん............あたしは太陽の精霊なんだから、太陽みたいなものなのよ?」
「そういう意味じゃなくってぇ..........」
がくっとして肩を落す乎一郎をくすっと笑いながら見つつルーアンは呟く。
「尽くすのもいいけど、追っ掛けられるのも悪くないわね........」
「ルーアン先生、何か言いましたか?」
「いーえ、何にも。さ、次の店行くわよー!」
「えー!?まだ行くんですかぁ?」
そう言いつつも乎一郎はルーアンと一緒にいられて嬉しそうであった。
「はぁ..........全く、いいとこなしでしたねぇ。後半はまるで出番がありませんでしたし、結局太助くんに負けてしまいましたしね」
研究室で一人ぼやく出雲。
「まぁ........いいでしょう。いい男というのは引き際も心得てるものですからね」
「なーに独り言をぶつぶつ言ってるんだよ!」
突然背中をバシバシと叩かれてびっくりして咳き込む出雲。
「な、那奈さん!?一体、いつの間に入って来たんですか?」
「男が細かいこと気にするんじゃないの。ま、同級生のよしみで愚痴にでも付き合ってあげようかと思ってきてやったんだから」
更に背中をバシバシと叩かれてやれやれという顔をする出雲。
「負けた相手の姉君に、ですか?」
「あ!確かにそういう考え方も出来るか。ま、男が細かい事を気にするんじゃないの。じゃ、行こうか」
那奈が出雲の腕を引っ張って研究室から引きずり出す。
「行くってどこへですか?」
「ま、おしゃれなバーかな?もちろん、あんたのおごりだよ」
「まったく、姉弟でこんなに性格が違うのは何でなんでしょうねぇ.....」
「だぁかぁら!!あたしらは軍事介入とかそう言うことをする気は全くないってさっきから何度も言ってるだろう!!」
しびれをきらした翔子が某国の外交官に怒鳴る。
「シ、シカシデスネェ、アナタガタノ軍事力ニ不安ヲ抱イテイル國ガアルノハ事実ナンデスヨ」
「だからさっきから何度も言ってるだろ!あたしらEGSは自然災害の復旧や人命救助、人道的支援の為だけに動くって。何でわかんないかなぁ!?」
さっきから似たような会話で堂々巡りしているため、翔子はかなり頭にきていたのである。
「しょ、翔子殿。落ち着いてくれぬか?取り敢えず、ここは私に任せてもらいたい」
横にいたキリュウが慌てて間に入る。
EGSの存在が世に明らかになり、天魔という戦うべき相手がいなくなったEGSを危険視する諸外国を説得、安心させる為に、この二人は外交担当として諸国をめぐっているのである。
「外交官殿、先ほどから言っている通り、我々はぼらんてぃあ活動はしても、軍事行動はしないのだ。それに、こう言ってはなんだが我々にそういうつもりがあるのならこんな所で話し合いなどせずに、攻め込んでいるとは思わぬのか?」
「ウウッ!ソ、ソレハ.......」
つまる外交官。
「とにかく、だ。これだけは言っておきたい。我らは貴国へ、いや他国へも敵意や害意はないのだ。だから我らを必要以上に警戒する必要はないし、我等の武力を当てにされても困るからな」
「ウグッ!!」
キリュウの全てを見透かすような瞳に外交官は硬直する。
「では、我々はこれで失礼するとしよう。参ろう、翔子殿」
「え?あ、ああ。じゃな、外交官さん」
会議室からキリュウと翔子は連れ立って出ていく。
「なーんだ、あいつってあたしらの事を利用できないかって目論んでたわけか」
「ああ。全く困ったものだな.....」
翔子がファイルで自分をあおぎながらぼやく。
「まったく、なんであたしらが外交関係の処理しなくちゃいけないのかねぇ.....?」
「仕方あるまい。翔子殿は参謀なのだから、こういう仕事もしなければならないのだ。私も護衛として翔子殿をきちんと守るから、しっかりと仕事をして欲しい。それで、あとどれぐらい行かなければならないのだ?」
キリュウが愚痴る翔子をなだめつつこれからの予定を聞く。
「えーっと、後10以上は回らないといけないな......」
「そ、そんなにあるのか!?」
びっくりして翔子の方を振り替るキリュウ。
実はキリュウは飛行機が苦手なのである。短天扇にのって飛ぶのは平気なのに飛行機は苦手と変わっていると翔子にからかわれてさっきも真っ赤になっていたのだ。
「ま、これも試練だと思って頑張るとするか。もちろん、最後まで付き合ってくれるよな?キリュウ」
にやっとしてキリュウを見る翔子に冷や汗をかきつつキリュウが答える。
「う、うむ。もちろんだ」
「なぁ、母さん」
「なぁに?あなた」
ベッドで未だ療養中の太郎助がさゆりに言う。
「しばらく見ないうちに、立派になったな、太助は」
「そうね。きっと、シャオちゃんのおかげね。はい、あーん」
皮をむき終わった林檎をさゆりは串にさして太郎助に食べさせる。
「あ、あーん.....ん、うまい」
「本当?良かった」
少し照れつつも食べる太郎助を嬉しそうに見るさゆり。
「なぁ、母さん。傷が治ったら...久しぶりに家族でごはん食べようか?」
「シャオちゃん達も、もちろん一緒よね?」
「え?ああ、そうだな。みんなでごはん食べようか」
「はい!」
にっこり嬉しそうにさゆりが笑い、太郎助もつられて微笑む。
「だったら、早く良くなってね、あなた」
「ああ」
「御主人様!今度こそ自信作ですぅ!!ごまみそ抹茶、飲んで下さい!」
茶都美がずずいっとお茶の入った湯飲みを差し出す。
「..........茶都美。味見したのか?」
「え?してませんけど.......」
首をかしげて答える茶都美に、星児は苦笑しつつ湯飲みを返す。
「飲んでみな」
「はい......うっ!?」
洗面所に慌ててかけていく茶都美を苦笑しつつも星児は追い掛けて、優しく背中をさする。
「ごめんなさい、御主人様。また失敗しちゃいましたぁ」
うりゅーっと涙を流して謝る茶都美を苦笑しつつも励ます星児。
「いーよ、気にしないで。待ってるから。茶都美がおいしいお茶いれてくれるの、ずっと待ってるから、頑張れよ」
優しく微笑んでくれる主を見ていると茶都美はふっと想う事がある。
(こうやってずっと一緒にいられるなら、おいしいお茶、ずっといれられない方がいいかな...........)
「こらぁー!待ちなさーい!」
「待てと言われて待つ怪盗はいないぞ?まぁ、待ってもお前に捕まるほど俺はどじじゃないけどな」
屋根から屋根へと飛び写りつつ夢幻斎が雛菊をからかう。
「い、いいいいい言ったわねぇー!!今すぐにとっ捕まえてやるから、そこになおれー!」
そう言いつつ追い掛けてくる雛菊の顔はとてもいきいきとしてまぶしく、夢幻斎はつい見とれてしまいそうになる。
「あ、おい!前見ろ、前!」
「その手には乗らないったぁ!!」
顔面から壁にぶつかってばたんきゅうとなる雛菊。
「あーあ、危ないって言ったのに....」
呆れたように雛菊を見下ろす夢幻斎。
「むーちゃん、さっさといかないと間に合わないわよ?」
「分かってるよ、ささら。ま、お大事にな、雛菊」
気が付いて頭を振ってる雛菊に軽く手を振りつつ夢幻斎が姿を消す。
「もー!!また逃げられたぁー!」
ちりんちりん。
「とうちゃーく!」
少年が自転車をとめると軽やかに美女が自転車から降りる。
「ありがとう、悠太くん」
「どういたしまして、エミリー。ほら、交さんが待ってるよ。早くいかなきゃ」
悠太が指さした方を見ると交さんが手を振っていた。
「あっ、本当。じゃ、また後でね、悠太くん」
「うん、またね」
たったったっと軽やかに走るエミリーを苦笑しながら見つめる悠太。
「さーて、と。あてられないうちにおばさんのとこにいこうっと。遅れたらまたおばさんにどやされるし」
エミリーが交さんに会いに行ってる間は悠太が助手兼秘書をしているのである。
「交さん、お待たせ」
「いつもありがとう、エミリー」
微笑み会う二人。
「ううん、どういたしまして。そういう交さんこそ、毎日お仕事ご苦労さま」
「ありがとう。でも、エミリーは働き者の私が好きなんだろう?だったら怠けるわけにはいかないな」
交さんの言葉に驚くエミリー。
「ええっ!?だ、誰から聞いたの?」
「悠太くんからだよ」
「もうっ、悠太くんったら......」
少しふくれるエミリー。
「あはははは、。ふくれたエミリーも可愛いな」
「も、もうっ!交さんったら....」
真っ赤になるエミリーだったが、ふと見つめ会って微笑みあう。
「あはははははは」
「うふふふふふふ」
「えーい!いいかげんわらわを元の姿に戻すのじゃぁ!!」
「ま、まぁまぁ、お母さん。その姿だって可愛いんですから......」
暴れる伊吹の母をなだめる智理。
「お母さん、じゃと?お主にそう呼ばれる筋合いはなーい!!」
「えっ!?あ、いや、別にそういう意味じゃなくてぇ!」
真っ赤になって言い訳をする智理。
「じゃ、どういう意味なんだ?智理」
「ど、どういう意味って.....あー!?伊吹くん!今までどこ行ってたのよぉ!!」
突然の声に智理が振り替ると、そこには伊吹邪甲が立っていた。
「ははは、悪い、悪い。じゃ、お詫びと言っては何だけど、散歩に連れていってやる」
そう言って伊吹は智理の手を握って空に舞い上がり飛んでいく。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「伊吹邪甲!わらわを置いていくでなーい!」
叫ぶ念儒母の横でプニプニが諦めきった表情で言う。
「私にこの人を押し付けていきましたね、二人とも.....」
空中散歩を楽しむ二人(智理はまだ怖がっている)は同時にくしゃみをする。
「母上が何か言ってるな...?」
「プニプニねー、何か言ってるの」
そう同時に呟いて二人は顔を見合わせて苦笑する。
「なぁ、智理」
「何?伊吹くん」
ちょっと真剣に言う伊吹に思わず頬を赤らめる智理。
「そんなに強くしがみつかなくても、落っことしたりしないから、もうちょっと力を抜
いてくれないか?ちょっと苦しいんだ」
「あ、ご、ごめんっ!」
慌てて離す智理を慌てて伊吹は抱きしめる。
「きゃっ!?い、伊吹くん!?」
「だからって両手を離すなよ...危うく落しかけたじゃないか....あ....」
不意に見つめ会ってしまい、真っ赤になる二人。
「千寿院智理ー!!」
いいムードをぶち壊すかのように突如怒声が響き渡る。
「きゃっ!?し、支部長?」
プニプニが携帯用の画面を持って追い掛けてきたのだ。
「まったく、お前という奴わぁぁぁ!!患者を放り出して何をやっとるかぁぁぁ!!」
「ご、ごめんなさーい!!」
怒鳴る支部長にひたすら謝る智理。
「えいっ」
と、突如伊吹が画面を壊す。
「い、伊吹くん!?」
「気にしなくていいよ、智理」
「で、でもぉ....」
「依頼人の俺がいいって言ってるんだから、いいの。さ、散歩を続けよう!」
そう言って伊吹は飛ぶスピードをあげる。
「スピード違反よぉぉぉぉぉぉ!!」
そう言いつつも伊吹にぎゅっとしがみついてる智理の顔はどこか嬉しそうで.......
救世梵天蓮華は太助を主とし、日々を忙しく、だが充実して過していた。
「蓮華さん、干魃で水不足になってる都市があるそうなんです、雨を降らせてもらえませんか?それと、こっちでは集中豪雨で洪水が起きそうなんです。雨を止めて下さい」
EGSのオペレーターから連絡をうけて蓮華は使命を果たすべく空を駆ける。
「ここね?天変降雨!それとあっちでは天変終雨!」
蓮華の力によって雨が降ったりやんだりする。
「蓮華さーん!私が行く予定のスキー場の雪が足りないそうなんです、降らせてもらえませんか?」
蓮華は空中で器用にこける。
「いや、それはちょっと.....私の管轄外なんだけど...........」
そして気になる二人はというと......
「シャオ、ここら辺に座ろうか?」
「あ、はい」
太助のダメージは比較的早く完治し、こうして二人で公園を散歩出来るまでになっていた。
二人はベンチに腰掛けてしばらく黙っていたが、太助がまず話し始める。
「シャオ、俺が操られていたときはごめんな。シャオの事、傷付けちゃって......」
すまなそうに言う太助をそっと止めてシャオが言う。
「いいんですよ、太助さま。太助さまをお守りするのが私の使命なのですから」
「なぁ......シャオ」
「はい?」
少しためらいつつも太助はシャオに聞く。
「シャオは使命だから俺を助けてくれたのか?」
「えっ.....!?それは.....」
違う....太助さまが主だから、というだけで助けたんじゃない。太助さまの事がとっても大切だから、主様としてだけじゃなく、それ以上に大切だったから.........
自分でも分からない感情にしばらくシャオは黙り込むが、切れ切れに答える。
「違います.....使命だからとか、主さまだからとかじゃなくて........太助さまの事が大切だから、ただ貴方の事がとっても大切だから..........」
「シャオ.......ありがとう」
シャオの言葉に赤くなる太助。
「太助さま、あのね。これを太助さまから貰ったときにね.....私、とっても嬉しかったんです。それでね、太助さまに聞きたい事が出来たんです。聞いても...いいですか?」
「聞きたいこと?なんだい、シャオ」
ネックレスを見せながら遠慮がちに聞いてくるシャオをうながす太助。
「太助さまにこれを貰ったときね、胸がどきどきして、とっても暖かくなったんです。それでね、何だか苦しくて、せつなくて、でも、それは決して不快なものじゃなくて、逆に何だかとっても心地良いものだったんです。それでね、太助さま。太助さまと一緒にいると....その....どきどきが強くなって来るんです。太助さま。太助さまはこのどきどきが何なのかご存知ですか?」
こちらの方を少し潤んだ瞳で見上げるシャオに少しどぎまぎしつつも、ある決意を固めて太助は答えはじめる。
「えっと.....実はね、シャオ。俺もシャオと一緒にいるとどきどきする事があるんだ」
「太助さまも......ですか?」
シャオが驚いたように太助を見上げる。
「あ、ああ。それでね、シャオ。俺は、その、シャオの事が......」
好きだ、と言いかけたそのとき。
「あれー!?主様にシャオちゃん。何してるんですかぁ?こんなところで」
仕事を終えて帰る途中の蓮華が空から降りてきたのである。
「れ、蓮華!?ど、どうしてここに?」
「蓮華さん!?あ、いえ、別に何も.....」
赤くなった二人を不思議そうに見つめて蓮華が言う。
「仕事が終って帰ってたら、二人がいるのが見えたんだけど.....どうしたの?顔が真っ赤だよ、二人とも」
「えっ!?あ、いや、なんでもない!そう、なんでもない。な?シャオ」
「えっ!?あ、はい。な、なんでもないんですよ、蓮華さん」
慌てて言う二人をキョトンとして見たあと、蓮華が笑い出す。
「仲がいいんだね、二人とも。羨ましいな」
蓮華の言葉に真っ赤になる二人。
「それじゃ、私はこれで失礼するね。お邪魔みたいだし」
「あ、蓮華さん!ちょっと待って下さい」
くすっと笑って飛びさろうとする蓮華を、シャオが慌てて止める。
「なに?シャオちゃん」
振りむく蓮華にシャオが微笑みながら言う。
「良かったら一緒にお散歩しませんか?いつもお仕事ばかりで大変でしょう?たまにはゆっくりされないと」
「シャオちゃん.......いいの?」
少し遠慮気味にいう蓮華に微笑みながらシャオが答える。
「ええ、もちろん。あの、太助さま。構いません...よね?」
「え?ああ、もちろんいいよ」
勝手な事をしたかと少し心配そうにこちらを見るシャオを安心させるように微笑みながら太助はうなづく。
「わーい!!ありがとう、シャオちゃん、主さま。それじゃ、早く行きましょう!」
蓮華は嬉しそうに二人の間に入り、腕をとって歩き出す。
(あーあ、結局また言いそびれちゃったな。シャオに「好き」だって。....でも、いいか。あせる事なんて、ないんだもんな.....)
「蓮華さん、そんなに急ぐと転んじゃいますよ」
「だいじょーぶだよ、シャオちゃんん」
(そう、あせらなくても....シャオ俺の想いは......同じなんだから)
蓮華に腕を引っ張られつつ、太助は自然と顔がほころぶのを感じていた........
−完−
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