知教空天・気神大天 1
出会い

「あーあ、親父の奴、またなんか送ってきたよ。」
七梨家の郵便受けには太郎助からの荷物があった。

ニーハオ!太助!
今父さんは、中国の奥地を旅している所だ。
何かきれいな石を見つけたので、彼女にでも渡してやりな。
あと、そこで見付けた変な本も一緒に送ってやる。そこの人が言うには、 それを読めば、すごく頭がよくなるんだそうだ。
ま、父さんには訳が分からなかったがな。

「ふーん・・・」
太助が一人で納得している間に、シャオが買い物から帰ってきた。
「太助様、ただいま。」
「ああシャオ、おかえり。」
「太助様、何ですかそれは。」
太助は呆れ果てたように言った。
「また親父からの荷物だよ。全く、よく探してくるよな・・・」
太助が精霊に対して無警戒の様で荷物に手を触れようとした瞬間、当たりに光が走った。
「ま・・・またかよ・・・・」

光が収まると、そこには小学生ぐらいの身長の少女と、宮内出雲を更にカッコ良くしたような少年がいた、
「はじめまして主様。私は知教空天楊明といいます。」
それに続いて少年も言った。
「主様、私は気神大天飛騨といいます。」
「は・・・はあ・・・よろしく・・・」
「私はこの統天書から呼び出され・・・いや、主様に開けられるまでは空天書ですが。
とにかくそれから呼び出され、主様に未来のこと、人の心以外の事全てをお教えする役目にあります。」
ヨウメイが言うと、上から声がしてきた。
「・・・万象を司る、という事もあるのだろう。知教空天楊明・・・」
「そ・・・その声はまさか・・・万難地天紀柳・・・?」
扉が開き、キリュウが姿を見せた。
「ヨウメイ殿、また人の主を奪うとはな・・・。盗人猛々しいにも程がある。」
「キリュウさん、言いたい事を言ってくれますねぇ・・・。」
太助は二人を制するように言った。
「お前ら、こんな所で喧嘩はしないように頼むぜ。」

「あのー・・・私の立場は・・・?」

「あ、ゴメンゴメン。すっかり忘れてたよ。確か・・・・・・誰だっけ?」
すっかり忘れられている飛騨だった。
「気神大天飛騨さんですよ。話は知っていましたが、見るのは初めてです。」
ヨウメイが答えた。
「私の役目は万物の気を操って、主様の生活をよりよくする事ですね。」
「うん。分かった。ヨウメイに、飛騨だな。これからよろしく頼むぜ。」
「「はい、主様。」」
ヨウメイと飛騨の声が重なった。
これでまた、七梨家の居候が増えた訳である。


そしてリビング。シャオが入れたお茶をテーブルの上に囲んで、みなでお話をすることに。
座っているのは、太助、シャオ、キリュウ、飛騨、ヨウメイである。
「あのさ、せっかく出てきてもらって悪いんだけど、今は特にしてもらうことは無いからさ。
二人ともとりあえずおとなしくしててくれよ。な?」
太助のその言葉に、飛騨は“そうですか・・・”と少しうなずいた。
しかしヨウメイはすかさず立ち上がった。
「何を言ってるんですか。主様が知りたい知識なんて、数え切れないほどあるはずです。
さあ、なんでも質問してくださいよ。すぐに答えて差し上げますから。」
ずずいっと詰め寄るヨウメイに、太助は両手を上げてまあまあとなだめる。
そこでキリュウが一言。
「そうやって自分のやりたいようにやるのが好きだったな、ヨウメイ殿は。
自分勝手で、人の迷惑も考えない・・・。」
「キリュウ様・・・。」
飛騨がさりげなくキリュウをなだめる。
ヨウメイはキリュウをチラッと見たかと思うと、ソファーに座りなおした。
「自分勝手に、主様に問答無用で試練なんか与えているのはどこの誰なんですか。
まったく、力が先に出るなんて無知もいいとこですね。」
キリュウの我慢もそこまでだった。短天扇をばっと開いたかと思うと、万象大乱を唱えた。
湯のみが巨大化、そしてヨウメイにガスッとあたる。
“いたたた”と湯のみがあたったところをさすりながら、ヨウメイが激しく言った。
「試練だ、耐えられよ・・・ですか?そんなのは試練でもなんでも無いです。
ただ喧嘩を売ってるだけなんですよ!!」
そして統天書をばっとひろげ、めくり出した。
それを見たキリュウ、またもや万象大乱を唱える。しかし、
「来れ、雷鳴!」
巨大化したものは雷がこなごなに砕いた。悔しそうな顔をするキリュウ。
「さすがだな。まだまだこれからだ!」
「当然!」
そして二人でお互いをにらみ合ったかと思うと、壮絶なバトルが開始された。
次々と巨大化し、砕け散る家具。その悲惨な光景に、太助が手を思いっきり振って叫ぶ。
「こらー、やめろー、喧嘩なんかするなー!」
しかし二人の暴走はとどまることを知らない。それどころかひどくなる一方だ。
シャオは太助を必死に守っていて、それが精一杯だった。
そこで、飛騨がすっと前に出た。
「主様、私に任せてください。」
「飛騨!?頼むよ、二人を止めてくれ!」
「分かりました。それでは・・・地気召来!」
飛騨が何やら集中すると、キリュウががくっと倒れた。
ヨウメイも・・・いや、倒れる寸前で頑張っている。
「くっ、・・・これが飛騨さんの・・・前もって調べておいてよかっ・・・。」
しかし、結局気絶した。そこでほっとする太助。とにかく、やっと落ち着いたわけである。

夜、やはりリビング。
「太助様、キリュウさんとヨウメイさんは大丈夫そうです。」
「ああシャオ。・・・全く、キリュウの試練よりつらいかもな、ヨウメイが来た事は。」
「あの二人、同じ主に仕えるんですから、これまでの事よりも仲良くする事が先決だと思うんですがねえ・・・。」
「たしかにそうですわ。」
シャオがうなずいた。
「あ、主様。さっき私は地気召来を唱えましたが、私にはまだ他に力があります。今のうちに見せておきましょう。」
飛騨はそう言うと、神武玉を握り、気を集中させた。
「神武覚醒!」
すると、破壊されていた家具が動き、元通りになった。
「へー、なかなかやるじゃん。」
太助は感心するように言った。
飛騨は今度は支天輪を握り、やはり気を集中させた。
「来々、離珠!」
すると今度は支天輪から離珠が現れた。
「えっ、ひ、飛騨さん!?」
シャオも太助も驚きを隠せないようだ。
「まだ信じられませんか?」
飛騨はそう言うとリビングから出て行き、短天扇を持ってきた。
「万象大乱!」
すると今度は元通りになった家具が巨大化した。
「万象大乱・・・ふう・・・・・。」
飛騨は力無く床に座り込んだ。
「飛騨?」
「いや、何でもありません。・・・精霊具を他の精霊が使うんですから、拒否反応が出るんですよ。それを抑え込む訳ですからね。」
「あ、離珠、突然呼び出しちゃってごめんね。もう戻ってもいいわ。」
シャオが飛騨に代わってこう言った。

「主様、今何時ですか?」
「7時頃かな。それがどうかしたのか?」
「7時ですか・・・では、お先に失礼します。」
飛騨はそう言ってリビングから外に出た。

「ふう・・・何だか大変な事になりそうだな、シャオ。」
シャオは笑顔で答えた。
「いいえ、私、とっても楽しみですわ。だって、いろんな精霊さん達と一緒にいられるんですから。」
太助も少し笑みを浮かべた。
「それもそうだな。」

しばらくの間、沈黙が続いたが、それをかき消すように電話が鳴った。
「はい、七梨です。」
それは翔子からだった。
「よう七梨。暇だからかけただけなんだけどさ、シャオいる?」
「いないはずないだろ。・・・シャオ、山野辺から。」
シャオが太助から受話器を受け取る。
「はい、翔子さん、何か?」
「ああシャオ、今日は親がいなくてさ、暇なんだ。今から泊まりに行ってもいいか?」
「はい。ぜひ来て下さい。ヨウメイさんや飛騨さんを紹介しますわ。」
だが、翔子は“ぜひ来て下さい”でもう受話器を置いていた。

「シャオ、山野辺何の用だって?」
「今から泊まりに来るそうなんです。今日はにぎやかになりそうですね。」
「へえー、泊まりに・・・シャオ、二人の精霊について山野辺は何か言ってたか?」
「それが、言う前に翔子さんが電話を切っちゃったもんですから。」
「そういやそんな感じだったな。・・・待てよ。」
シャオの話に、あごに指を当てて少し考え込む太助。
今晩の寝場所を考えているのだ。しかし、
(ま、何とかなるかな)と心の中でつぶやき、シャオに笑顔を見せて、二人でリビングに戻った。
そして座ってお茶を飲み始める・・・と同時に、どたどたと音がしたかと思うと、
二階からルーアンがやってきた。
「おっはよー、たー様。あーん、ルーアンたら寝過ごしちゃったー。シャオリン、早くお昼ご飯作ってよー。」
「ルーアン、今は夜なんだって・・・。」
太助に言われてきょろきょろとあたりを見回す。
「じゃあ、夜御飯ー。」
「それも終わったよ。まったく、いくら起こしても起きないんだから・・・。」
ルーアンはぴたっと黙り込んだ。そして涙目になる。
「そんなー、ひどいわー。おなかすいて死んじゃうー。」
「ルーアンさん、残り物でよろしければ私が手を加えて何か作りましょうか?」
シャオが笑みを浮かべて立ち上がった。ないていたルーアン、またもぴたっと黙る。
「うん、お願い。シャオリン。」
「はい、それじゃあちょっと待っててくださいね。」
とたたっときっちんへ駆け出していくシャオ。それを見送って、ルーアンはおとなしくソファーに座り込んだ。
「ふう、よかったわー。一時はどうなることかと思った。」
「思いっきり寝るからいけないんだって。それよりルーアン、気神大天飛騨と知教空天楊明って知ってるか?」
「楊明は知ってるけど、飛騨なんてはじめて聞いたわねえ。で、その二人がどうかしたの?」
「親父から荷物が届いて、その二人が出てきたんだ・・・。今は二人とも二階にいるんじゃないかな。」
「えーっ!?歩くなんでも辞典がいるのー!?ねえ、どこどこ、どこにいるの、たー様!?」
「何なんだよ、歩くなんでも辞典て・・・。だから二階に・・・」
太助が告げると同時に、ルーアンは勢いよく二階へと飛び出していった。
先ほどまでうったえていた空腹がうそのようである。
「・・・何なんだ?一体。」

太助がルーアンのすごさに呆然としていたそのとき、ピンポーンとなる呼び鈴。
「あれ?誰だろ、こんな時間に・・・ああ、山野辺か。」
そして玄関へと向かって、来客を出迎える。扉を開けると、やはり翔子がそこにいた。
「こんばんわー。えへへ、いきなりで悪いけどさ、泊まりに来たよ。」
「ああ、電話で言ってたっけな。ほら上がれよ。」
「おっ邪魔しまーす。」
翔子が家に上がりこんだその時、これまた丁度、二階から降りてきた人物が。
ルーアン、ヨウメイの二名である。
「あらー、どうしたのよこんな夜に。」
「泊まりに来たんだよ、ルーアン先生・・・そっちの女の子誰?」
翔子を見て、ヨウメイは笑顔になってぺこりと頭を下げた。
「はじめまして、私は知教空天楊明と申します。主様にさまざまな知識を教えるのが役目。
よろしくお願いします、山野辺翔子さん。」
「ああ、よろしく・・・ええ!?なんであたしの事知ってるの!?」
つられてお辞儀した翔子は、慌てて顔を上げて叫んだ。太助も驚きの顔である。
ヨウメイが答える前に、ルーアンが代わりに答えた。
「この子の持ってる統天書。これにはすべてといっていいほどの事柄が載ってるの。
読めるのは主のたー様とヨウメイだけなんだけどね。ヨウメイに聞けばどんなこともすぐ教えてくれるわ。
だから、歩くなんでも辞典ってわけ。」
なぜか胸を張っているルーアン。二人は、へえ、とうなずいた。
ヨウメイは少し苦笑いをしていたが、やがて統天書をめくり出した。
「えーと、山野辺さんは知らないでしょうから説明しておきますね。
実は私と同時に、もう一人の精霊さんがここにやってきました。
名前を気神大天飛騨さんと言って、万物の気を操って、主様の生活をよりよくする事が役目です。
なかなかに強い方で、気を操っての攻撃はかなりのものですね。
また、“神武覚醒”といって物の気を操ることができる能力も持ってます。
陽天心召来に似ていますがルーアンさんと違って完全に支配下に入れる訳です。
気を操るという点で、そこらの物からいろんな知識を得たりもできます。
もう一つ、他の精霊具を使うこともできるんですね。さすがにこの統天書は読めないようですが・・・。」
次々と説明するヨウメイに、唖然とする太助達。きりのいいところで、ヨウメイは統天書を閉じた。
「さてと、それじゃあシャオリンさんのご飯でも食べにいきましょうか。
といっても、量的に足りないかもしれませんね・・・。キリュウさんを起こしてきますね。」
周りが戸惑っているうちに、ヨウメイは階段を駆け上がっていってしまった。
顔を見合わせてリビングへ向かう3人。座ったところでルーアンが口を開く。
「あの子は大体あんな調子よ。ぱっぱと調べてぺらぺらしゃべる。
こっちが聞く前に言ってくれるから便利なのよねー。だから歩くなんでも辞典。」
「あのさ、確かにいろいろ教えてくれるのは良いと思うんだけど、
あんなにたくさん一度に言われたって・・・。」
「そうだよな。でもすごいな、さすが知識を教えるだけってことはあるよ。
飛騨にしろ、俺はとんでもない精霊の主になっちゃったな。」
3人で一言ずつ言ったところで、シャオがキッチンから顔を出した。
「ルーアンさん、ご飯出来上がりました。まあ、翔子さん、いらっしゃい。ゆっくりしてってくださいね。」
「ああ、もちろん。そのつもりで泊まりに来たんだし。」
「さあてと、早く食ーべよっと。」
ルーアンが立ち上がった瞬間、二階から“ド−ン!!”という大きな音がした。
その振動に、よろめく四人。
「な、なんだ!?一体何が起こったんだ!?」
太助はそう言ったかと思うと、みなを目で促し、四人で階段のほうへと向かって行った。
太助達が二階に上がると、キリュウの部屋からキリュウとヨウメイの声が聞こえた。
「まったく、私を何と思っているんだ!いくら私の寝起きが悪いからって、雷なんかで起こす事はないだろう!」
「あなたの寝起きの悪さはこの統天書も認める世界一ですよ!
さっきまで私はずっとあなたを起こそうと懸命だったんですから、仕方の無い事でしょう!!」
二人が口喧嘩している所に、太助達が部屋に入ってきた。
「ヨウメイ、これはどういう事だ?」
「キリュウさんが起きようとしないので、雷で起こしたんですよ。そうしたらキリュウさんが怒って怒って・・・」
ヨウメイのその言葉に、キリュウがむっとして答えた。
「ヨウメイ殿、それはあまりにも聞き捨てならんな。私の寝起きが悪いのは元々だ。その統天書にも書いてあるだろう。」
ヨウメイは一瞬、一本取られた、というような顔をしたが、すぐにまた反論した。
「キリュウさん、確かに寝起きが悪いのは元々でしょう。
ですが、それを起こしたからって、怒る事はないでしょう。要するに、短気なんですよ。あなたは。」
キリュウはヨウメイのその言葉に怒ってしまった。
「何を!もう我慢ならん!!万象・・・あれ・・・私の短天扇は・・・?」
(これでまた家屋崩壊の危機は救われた。良かった良かった・・・)
太助が心の中でそう言うと、飛騨が入ってきた。
「何ですか、騒々しい。疲れたので寝ていたら、突然爆音がしたんで見に来たら・・・
ヨウメイ様、貴方だったんですか。」
そしてその手には短天扇が握られていた。
「飛騨殿!なぜ私の短天扇を!?」
飛騨は笑みを浮かべながらこう答えた。
「こういう事ですよ。・・・万象大乱!!」
すると、目覚し時計が一瞬のうちに巨大化した。
「ではキリュウ様、短天扇を返しますから、元に戻して下さい。」
飛騨がそう言って部屋から出て行くと、太助達を完全に無視したキリュウとヨウメイのバトルが再発した。
「万象大乱!!」
キリュウは大きくなっている目覚し時計をさらに大きくして、ヨウメイに当てようとした。
「来れ、鎌鼬!!」
ヨウメイがそういった瞬間、その目覚し時計がズタズタに切り刻まれた。
「今度はこっちから行きますよ!来れ、焦熱!!」
キリュウの周りの気温が突然上がった。
「く、ヨウメイ殿・・・。私が暑さに弱い事を知っているからと・・・くっ、万象大乱!!」
キリュウは扇風機を巨大化させた。
「そんな事でしか暑さから身を守れないんですか?そういうのが頭の悪い証拠ですよ。」
「何を・・・!」
キリュウが短天扇を開けようとする前に、飛騨がまたも部屋の入ってきた。
「まったく、貴方達の乱暴さにはあきれますよ。さっきは少々手加減をしましたが、今度は容赦しませんよ!!天気集来!!!」
飛騨がそう言うと、キリュウとヨウメイは一瞬で気絶してしまった。
「ふー、これでやっと安心して眠れる・・・
っと、貴方は?」
飛騨は翔子に質問した。
「あたしは山野辺翔子。あんた、飛騨ってんだな。よろしく。」
翔子は飛騨に片手をさし出した。
「はい、山野辺さん。」
飛騨はその手に握手して答えた。
「あれ、飛騨。さっき休んでたって言ったけど、何処で休んでるんだ?」
太助が飛騨に言った。
「この廊下の突き当たりの右側の部屋が開いていましたから、使わさせてもらいました。」
「ああ、ならいいよ。」
「では、失礼します。」
飛騨はそう言ってそのまま部屋から出た。

太助達が下に降りると、電話が鳴り出した。
「はい七梨・・・あ、那奈姉。どうかした?」
「太助、公衆電話だから時間が無いんだ。いま成田に着いたからさ、今から家に帰るよ。
・・・シャオとはどうなんだ?え?男の子」
「那奈姉、今はそんな事どうでもいいだろ。」
「ははは、確かにそうだな。じゃ、ちょっと遅くな・・・・・・」
「あっ、那奈姉・・・・・・切れた・・・」
太助は那奈にヨウメイと飛騨の事を話そうとしたが、その前に切れてしまった。
「やばいなー・・・全員寝る場所あんのかよ・・・」
翔子が後ろから声を掛けた。
「七梨、誰から?」
「那奈姉からだよ。もうすぐ帰るって。」
「へー、あのコカ派姉ちゃんが帰ってくる?そりゃー面白くてけっこーけっこー」
太助は心の中で(やっぱり山野辺と那奈姉は気が合うのかな)と思った。

ルーアンの遅れた夕御飯が終わり、リビングでくつろぐ太助達。
とりあえずお茶でも飲みながら、那奈が帰ってくるのを待っているのだ。
「ところで七梨、那奈ねぇにちゃんと説明するんだろ。ヨウメイと飛騨のこと。」
「ああ、そのつもりだよ。まさか隠すわけにもいかないし。
でも、どうやって説明しようかなあ。いきなり二人も増えたなんてさ・・・。」
頭を抱え出す太助に、シャオが心配そうに尋ねた。
「大丈夫ですか?太助様。心配なさらなくても、那奈さんはきっとわかってくださいますよ。」
「ありがとうシャオ。だといいんだけどな・・・。」
シャオに一応慰めてもらったものの、やはり何を言われるかはわからない。
最初シャオ達を見たときは自分の軽快さとは逆に軽くすんだ。
しかし二度目、キリュウを見たときは“やりたいほうだい”などといわれてしまった。
今回はかっこいい男性と幼い(?)少女。いかにも何か言われそうな面々である。
しかも二人ともがすごい能力の持ち主なのだから。
そんなことを考えてため息をつき、さらに憂鬱になる太助であった。

あまりにも太助がつらそうに見えたのだろうか。ルーアンが明るい声で告げた。
「あんまり深く考えないほうがいいわよ、たー様。
おねー様ってアバウトな性格なんでしょ。だったらあんまり気にしないんじゃない?」
「だといいけどな・・・。はあ、誰かいい説明の仕方教えてくれないかな・・・。」
太助がそうつぶやいたとき、ルーアンがピンとひらめいたように立ち上がった。驚いてそれを見上げる太助達。
「どうしたんですか、ルーアンさん。」
「ヨウメイよ、あの子に教えてもらいましょ。きっとベストな説明方法を教えてくれるはずよ。」
「そうか!・・・でもそんなこと分かるかなあ。」
ルーアンに言われて慌てて立ち上がったものの、やはり半信半疑の太助。
しかしルーアンは、太助の腕をつかんでリビングから出て行こうとする。
「大丈夫よ、こんな程度朝飯前に決まってるわ。さ、早くヨウメイを起こしに行きましょ!」
「わ、分かったからそんなに慌てなくたって・・・。」
翔子とシャオが唖然とみている中、太助とルーアンの二人は二階へと上がっていった。
しばらくして翔子がぽつりと言った。
「なるほどねえ、説明の仕方なんてわかるのか・・・。」
「でも翔子さん、ヨウメイさん何度も起こされて、なんだかかわいそうですわ。」
「自分から寝たんじゃなくて、飛騨に気絶させられただけだろ。別にいいんじゃないの?
それにいろいろ役立てるほうが、ヨウメイとしてもうれしいんじゃないかな。」
「・・・それもそうですわね。」
納得して笑い合うシャオと翔子。一方、ヨウメイを起こしに行った太助とルーアンは・・・。

「ふう、あぶなかったあ。どうしてこんな目に・・・。」
「あのこったらホント寝起きが悪いんだから・・・。」
廊下で息を切らしながら休んでいた。あのことはキリュウのこと。
部屋の位置的にヨウメイより手前に寝ているものだから、ヨウメイを起こすにはキリュウという難関を超えなければならない。
しかしそのキリュウから危うく被害を受けそうになって、慌てて廊下へと引き返したわけだ。
「どうしましょうか、たー様。」
「うーん、飛騨に頼んでみようか。二人を起こしてもらえるように・・・。」
そして飛騨の寝ている部屋、(つまり自分の部屋)へ向かう太助。
ちょうど飛騨は男だから、寝る場所としても太助の部屋が最適である。
部屋に入り、寝ている飛騨をゆする太助。
「おーい、飛騨。悪いけどおきてくれ。」
そして目を開き、ゆっくりと起き上がる飛騨。ひとつあくびをしたかと思うと太助の方へ向いた。
「何ですか、主様。私に何か御用ですか?」
「ヨウメイを起こしてほしいんだ。ちょっと位置的に起こしにくいもんだから。」
太助の要望を聞いて“はあ?”というような顔をした飛騨だったが、快くうなずいて起き上がった。
キリュウの部屋へと飛騨を案内する太助とルーアン。
相変わらずの調子で眠っているキリュウとヨウメイ。太助が飛騨に言う。
「頼むよ、飛騨。何ならキリュウを一緒に起こしてでも・・・。」
「それなら私に頼まなくともと思うのですが、何か理由がありそうですね・・・。
いいでしょう。・・・地気召来!」
飛騨が叫ぶと同時に寝ている二人の体に衝撃のようなものが走る。そこで二人ががばっと起きた。
「ななな、なんだ今のは!」
「敵襲ですか!?」
起きてすぐに慌てふためく二人。飛騨はすばやく呼びかけ、なだめることに成功した。
「これで良いですか、主様。では私はもう寝ますので・・・」
「あっ、ちょっと待ってくれよ飛騨!」
部屋を出て行こうとした飛騨は、太助に呼ばれてぴたっと立ち止まった。
「実はさ、もう少ししたら俺の姉の“那奈”っていうんだけど、帰ってくるんだ。
だからそのときにあって、挨拶をしてほしいなって思うんだけど。」
「そうそう。ヨウメイを起こしてもらったのも、おねー様へのいい説明方法を聞こうと思ったからなの。」
太助とルーアンの説明にふんふんとうなずく精霊3人。
飛騨は、“分かりました”と再びうなずいた。しかしキリュウが、
「ヨウメイ殿にそんなものを頼っているようではだめだぞ、主殿。」
と、厳しく言った。もちろんヨウメイはそれに反応して、
「最適な方法と主様が判断したからこうして来たんじゃないですか。
それにいちゃもんをつけるなんてやっぱり頭が悪い証拠ですよ!」
と、おもいっきり嫌味ったらしく言った。当然キリュウは怒る。
「なんだと!ヨウメイ殿!一言言えば頭が悪いだの・・・。他にいうことはないのか!!」
「だって本当のことですもん。だいたいキリュウさんは・・・とと、その前にひとつ。
飛騨さん、人の争いを止めるのに、いちいち気絶させるなんてひどすぎますよ。もう少し平和的な止め方はないんですか!?」
なんと矛先を飛騨に向けたヨウメイ。しかし飛騨は怒りもせずにゆっくりと言う。
「ヨウメイ様、あの状態で私はこうすれば良いと判断したからああしたまでです。
それ以前に、宿敵同士の闘いを止める平和的な方法など、その統天書でもなければ見つけられないと思いますが?」
「ああ、そうですか。こりゃ失礼しました。私とは考え方が違うんですものね。
さてキリュウさん、私はねえ・・・。」
再びキリュウに文句を言い出すヨウメイ。そんなヨウメイに耐え切れず、とうとうキリュウも短天扇を取り出した。
「もはや我慢ならん!万象大乱!」
「来れ、鎌鼬!」
再び繰り返されるバトル。
太助とルーアンがため息をついて飛騨を促すと、飛騨はやれやれといった顔つきで集中し始めた。
キリュウは万象大乱を唱え、ヨウメイも何やら呼び出そうとしている。
「万象大乱!」
「来れ・・・」
「天気集来!」
「真空!」
ヨウメイが一足遅れて叫んだ。キリュウはがくっと気絶したが、ヨウメイは平気のようである。
「ふう、あぶないあぶない。何もない空間を周りに張っておけば、飛騨さんの攻撃も怖くありませんね。」
なんと、飛騨がぶつけようとした気が、ヨウメイの周囲ですっと消えている。
もちろんヨウメイ自身の周りは薄い空気の層である。うまく真空のバリアをはっているのである。
驚く飛騨がぽつっとつぶやいた。
「さすが、知教空天というだけありますね・・・。ですが、もし私が・・・いや、やめておきましょう。」
「当然。さすがに疲れますけどね、これくらいしないと。対策はちゃんと練ってたんですよ、あははは。
でもまあ、いつまでも喧嘩しててもしょうがないですよね。那奈さんがいらっしゃるならちゃんと説明方法を考えないと。」
そう言って真空の空間の中で統天書をめくり出すヨウメイ。しばらくめくったかと思うと、パタンと閉じた。
「説明の必要なんてありませんよ。あれだけアバウトな性格でいらっしゃるんだったら、すぐにでも納得してくれるはずです。
さあて、それじゃあ下へ行きましょうか。キリュウさんも連れて。」
そしてヨウメイは自分の周りの空間を解いた。
意気揚々と下へ降りていくヨウメイに続く飛騨。太助は唖然としながらそれを見送っていた。
ルーアンがキリュウを抱えて一言。
「たー様、何がなんでもヨウメイには逆らっちゃだめだからね。それだけは言っとくわ。
まあ、主様に危害を加えるなんてことは絶対にしないと思うけど。」
ようやく太助も階段を下り始める。
階段の中程で太助を待っていた飛騨に、太助が話し掛ける。
「なあ、さっきのは一体何なんだ?」
「・・・絶対に防御が効かない攻撃があります。それの事ですよ。
・・・真空によって私の天気集来を防いだ実例はいくらでもあります。と言っても、考えに考えてですがね。
全く、一日で天気集来を防ぐとは、統天書の力は伊達じゃ有りませんよ。」
「絶対に防御が効かない・・・?」
「・・・一つは気反来です。と言っても、意志を強くする事でこれはふせげますがね。
・・・そして・・・もう一つは・・・“天”です。」
「“天”?」
「一度かけてみましょう。何かいらないものは有りますか?」
「ああ、これはいらないものだけど・・・」
太助はそう言って古本を指差した。
そして、飛騨は何やら集中する。
「ヨウメイ様、見ておいてください。これの防御方法は、統天書にも書いてないはずですがね・・・」
「何ですって?」
ヨウメイが少し怒ったように振り返った。だが、飛騨はそれに見向きもせずに念じはじめた。
「この広大なる天の神々よ、気神大天の名に於いて命ずる!!この者に今、裁きを与えたまえ!!“天”!!!」
そう言うと、飛騨の前に置いてあった古本は、光を出すとそのまま消滅した。
飛騨はつらそうな顔をすると、ヨウメイに向かって言った。
「ヨウメイ様、これは気をぶつけるという訳でもありません。
ただ、命じたものを完全に消滅させるだけです。もちろん生物、精霊、精霊具も例外ではありません。」
だがヨウメイは軽く鼻であしらうように
「ふふん、そんなものの防御方法はこの統天書に書いてありますよ。」
と言ってから、統天書をぱらぱらとめくりはじめた。
が、あるページにたどり着くと、カッと目を見開いた。
「飛騨さん、・・・確かにそれの防御方法は無いようですね。ですが・・・。
・・・まあそんな事にはならないと飛騨さんを信じてますから。よろしくお願いしますね。」
「え?ええ・・・。」
子供のように笑うヨウメイ。飛騨は一応それにうなずいた。

とそのとき、ピンポーンと呼び鈴が鳴り響いたかと思うと、那奈姉が玄関に顔を出した。
「たっだいまー!」
「ああ、おかえり、那奈姉。」
那奈姉はちょっと見回すと、こう太助に囁いた。
「ほほー、ついに5人もか・・・。お前もなかなかやるなー。今度は男まで連れ込んじゃってさぁ・・・」
「そう言う訳じゃないんだよ。」
「じゃあどういう訳だ?」
「ま、ここよりもリビングで話そうよ。」

「・・・・・・という訳なんだ。分かってくれたかな。」
「つまり、このヨウメイも、飛騨も、みんな精霊だってぇ訳だな。納得納得。
それにしても、お前の心が清いとはなぁ・・・姉としてちょっと信じられないぜ。」
そこへヨウメイが口を出す。
「ですが、私たちが主様の元に呼び出された、ということが心の清い事の証明じゃないですか?」
「はっはっはっ、それもそうだな、これは一本取られたよ、ヨウメイちゃん。」
笑う那奈を見て、飛騨が頭を下げる。ヨウメイもそれに続いた。
「とにかく、よろしくお願いします。那奈さん。」
「分からないことはなんでも聞いてくださいね。」
「あ、ああ。こちらこそ。さあて、これから何しよっか。」
那奈がそう言うと、飛騨が立ち上がった。
「私は疲れたのでもう寝ます。それよりヨウメイ様。」
「はい、なんですか?」
「さっき階段で言っていた、私を信じるとはどういうことですか?」
「そ・れ・は、・・・秘密です!いくら飛騨さんでもこれはちょっと教えるわけにはいきませんよ。」
ヨウメイの言葉に唖然とする飛騨。周りの皆はふーんという感じでそれを見ていたのだが、
キリュウが突然立ち上がった。
「まさか、万象消滅!?」
「・・・あのね、キリュウさん。私がそんな術を使えるわけないじゃないですか。
昔のこととごっちゃになってませんか?」
「ふむ、それもそうだな・・・。」
一瞬は驚いた飛騨達だったが、キリュウが座り直すところを見て、やれやれと落ち着いた。
「ふあーあ、なんだか私も眠たくなってきちゃった。私ももう眠りますから。
寝る場所はキリュウさんの部屋ですね?」
「ああ、そうだけど。」
太助がそれに答えた。那奈に説明するとき、寝場所もちゃんと決めておいたのである。
シャオの部屋にはシャオと翔子。太助の部屋には太助と飛騨。
ルーアンの部屋には那奈とルーアン。そしてキリュウの部屋にはキリュウとヨウメイということである。
「それじゃあおやすみなさい・・・。」
大きなあくびをしながらリビングを出るヨウメイ。飛騨はそれを慌てて止めた。
「ヨウメイ様!」
「何ですか、飛騨さん。眠いんならもう寝ましょうよ。」
「先ほどの事を教えていただかないと、気になって眠れません!」
「・・・ずいぶんと勝手な意見ですね。
ルーアンさんが知ってますから彼女に聞いてください。じゃあおやすみなさい。」
そう言い残して、ヨウメイはゆっくりと二階へあがっていった。
その後、一転して皆がルーアンに駆け寄る。中でも飛騨は、眠いながらも一生懸命だ。
「ちょっとちょっと、まずは落ち着いて座りなさいって。」
「ルーアン殿、要点の一言でもいいから今言ってくれ。」
飛騨よりもさらに熱心なキリュウに詰め寄られ、ルーアンは一言発した。
「万象封鎖よ。」
『万象・・・封鎖・・・!?』
皆は驚くと、さらにルーアンに詰め寄った。
「封鎖ってどういうことだ!?」
「能力を封じるということなのか!?」
「答えてください、ルーアンさん!!」
皆がわらわらと押すので、ルーアンは耐え切れなくなり、
「陽天心召来!」
近くにあった家具一式すべてに陽天心をかけ、皆をふっ飛ばす。
“ドーン!!”と勢いよく音がした。
「落ち着きなさいって言ってんでしょう!!?たくう、ヨウメイのやつ・・・。
あたしは一応そう思うだけなんだから。ほんとは違うかもしれないし、これ以上は聞かないでよ!!
ああー、疲れた。あたしも寝るわ。お休み。」
そしてルーアンは陽天心を解いて、二階へ上がっていった。

家具をキチンと並べて、座り直す太助達。
「しっかしなんだかすごそうだなあ。ますます騒がしくなりそうだ。」
「私は気になります。ヨウメイ様が言っていた事が何なのか・・・。」
「気にされるな、飛騨殿。もしかしたらヨウメイ殿のはったりかもしれぬし。」
「はったりじゃないですよ。」
「うわっ!!」
いきなりの背後からの声に飛び上がる太助。
振り返るとヨウメイが寝巻き姿で立っていた。
「ヨウメイ、寝たんじゃなかったのか?」
「いいえ、翔子さん。私は寝たつもりでした。ですが・・・、
人が寝ているって時に何一階で騒いでるんですか!!もうちょっと常識を考えてください!!!」
すると飛騨は立ちあがって、怒ったように反論した。
「もとはと言えばヨウメイ様がちゃんと言ってくださらなかったのが原因なのです。
はったりでないというのなら、ちゃんと教えてください。」
するとヨウメイは統天書を取り出してめくり出した。あるページで手を止める。
「来れ・・・」
「気召来!」
がくっと衝撃を受けるヨウメイ。
気絶はしなかったものの、体制を立てなおして“きっ”と飛騨を睨んだ。
「何するんですか飛騨さん!!」
「ちゃんと教えてくださいと言った筈ですが?
暴力で解決するのは頭の悪い証拠ではなかったんですか?」
「分かりましたよ・・・。まったく、ひどいなあ・・・。」
ぶつぶつといいながらも、またもめくり出すヨウメイ。その様子を見て翔子が一言。
「・・・やっぱりはったりじゃないのか?それとも万象封鎖?」
「翔子さん!・・・万象封鎖ですか、ルーアンさんに聞いたんですね。確かにあれでも飛騨さんを負かすことは可能かもしれませんね。
・・・それで納得してくれませんか?もう眠りたい・・・。」
「ヨウメイ様。それならば、その万象封鎖とやらをしてもらえませんか?」
飛騨に言われて、ハイハイとうなずくヨウメイ。
なんだか面倒くさそうに統天書を広げ、一言叫んだ。
「万象封鎖!」
「うわっ!?」
突然飛騨の体が浮き上がったかと思うと、統天書に吸い込まれ・・・そうになったがそのまま元に戻った。
「これが万象封鎖。対象を統天書に封じるわけです。
飛騨さんの“天”を使えば、多分そこから出られるでしょうね。でも、自分も消えちゃうでしょうけど。」
「・・・・・・」
飛騨は黙ってヨウメイの言葉を聞いている。
と、ヨウメイが説明を加えた。
「対象を、統天書内部の空間と一体化させるっていう術なんです。
“天”を使って出るには、まず周りの物か、この統天書自体を消さなければならない。
しかし、すでに統天書内部のものと一体化してしまっているわけですから、
消すことイコール自分も消える、というわけです。」
“ふえー”と感心する一同。那奈がそこでたずねた。
「でもさあ、飛騨君は封鎖できないんだな。それじゃあ負かすなんて無理じゃん。」
「だって精霊は結構大変なんですよ。この眠いときにそんなことやってられませんよ。
もういいでしょう?さっさと眠らせてくださいよ・・・。」
そしてヨウメイはリビングから出て行こうとしたが、
「待てよ、ヨウメイ!」
と、太助に呼びとめられた。
「何ですか、主様・・・。」
「おれはもうひとつの方法を見てみたいんだけど・・・。」
ヨウメイは眠いながらも振り向いた。
太助のたのみはあっさり断ろうとしないところは、さすがというかなんというか・・・。
「・・・どうなっても知りませんよ。死んでもいいってんならやりますけど。」
「死ぬ・・・って、そんなにすごいことなの?」
「やっぱり眠い〜。もういいじゃないですか、いいかげん眠らせてくださいよ。」
「そうですね、これだけ見せていただいた訳ですし。」
「しかし万象封鎖とは・・・。さすがに私の力を見て開発しただけのことはあるな。」
「開発した?」
「ええそうですよ。昔キリュウさんと会ったときにね。じゃあ、おやすみなさい・・・。」
そしてふらふらしながらヨウメイは出ていった。
いまいち納得していない面々だったが、飛騨はこう告げた。
「無理に今聞かなくとも、詳しいことはまた明日で良いでしょう。
私はとりあえず納得しました。それでは皆様、おやすみなさい。」
「明日か・・・。そうだな、明日みんなで詰め寄れば、簡単に教えてくれるよな。」
「山野辺、それじゃああんまりにも・・・。もうちょっとさりげなく聞くとかさ。」
「太助、最後の最後で呼びとめたおまえが言うせりふじゃないな。さあ、あたし達ももう寝ようぜ。」
「皆さん、おやすみなさい。」
それぞれが挨拶し、それぞれが寝る部屋へ向かう。
飛騨と一緒に部屋に入った太助は、飛騨に聞いてみた。
「なあ飛騨、おまえ達がすごいって事は分かったからさ、なるべく仲良くな。」
「??私はそのつもりですが・・・。向こうが本気なら、こちらも容赦しない、とそういうわけです。」
「そうか・・・。じゃあとりあえずヨウメイに気をつけないとな・・・。
キリュウもヨウメイ自身が試練だとか言ってたし・・・。」
「主様、もしものときは私が頑張りますので、心配なさらぬよう。それに、精霊具が消滅してしまえば、その精霊はもう存在する事も出来なくなりますからね。」
「そっか、頼りにしてるよ、飛騨。」
「はい、それではおやすみなさい。」
「おやすみ、飛騨。」
そして消される明かり。七梨家に、ようやく静かな夜が訪れたのである・・・。


キャラが多いので、とにかく疲れました。
なんと言っても個性が強いし・・・。(飛騨とヨウメイ)
この先、うまく続けていけるかどうか不安ですが、まあそれなりに。

BY 空理空論


・・・ふう、空理空論殿は凄いな・・・
・・・シャオ達の影が薄いっすねー。
やっぱりオリジナルを二人も登場させると・・・ね・・・
ま、その辺はご勘弁を。

BY TAKE


back
TopPage