エピローグ
ルシェンがいなくなって一週間が経った。
太助、シャオ、ルーアンは普通に生活を送っていた。
しかしキリュウはたまにボーっとしたり、試練が途中で止まったりとまだ引きずっていた。
そんな日がしばらく続いた夜のこと食事を済ませた太助が部屋に戻ろうとしたとき、玄関の外に誰かが居る気配がした。
そして太助が玄関のほうへ近づくと、
「すいません。宅急便です」
と声がした。
こんな時間に宅急便が来るのはおかしいと思いながらも太助は玄関のドアを開けた。
そして太助は驚いた。
「七梨太助様。精霊一人速達です」
そう言ってそこに居たのはルシェンだった。
太助は驚いて後ずさりして玄関の段差につまずいて尻餅をついてしまった。
閉まりかけていたドアを急いですり抜けルシェンは玄関に入ってきた。
「久しぶりだね七梨君。七梨君はそこそこ元気だったね」
とルシェンは軽く挨拶した。
太助は驚きながらも、
「ルシェンさんがなんでここに?確かもう力がないから会えないって…」
と聞くと、
「なんか誰かがひどく落ち込んでいてね、悲しみは私の力になるから少し回復したんだ。
そしてちょっとやることを思いついたんで来たんだ」
と答えた。
そしてそんな騒ぎの中ルーアンが来てルシェンを見ると、
「げっ、あんたなんであんたがいるのよ!」
と完全に混乱していて何を言っているのかわからなかった。
そしてそこへ食事の後片付けを終えたシャオが来た。
「ああ!ルシェンさん、お久しぶりです」
とあまりに冷静なシャオの反応は逆にルシェンのほうを驚かせてしまった。
そしてシャオは、
「今キリュウさんを呼んできますね」
と言ってリビングのほうへ入っていき、そしてキリュウを連れて出てきた。
キリュウの顔はまるで生気を抜かれたような無表情な顔だった。
しかしキリュウがルシェンに気づくとその顔に表情が戻ってきた。
それは驚きに満ち、そして目から涙が零れていた。
「どうしてルシェン殿が…」
とキリュウが尋ねると、
「まあ、皆そろったから話すけど私にはあまり時間がないから要点だけ言う。
実は皆から私の記憶だけを消しに来たんだ」
とルシェンが言うと声を出して驚いた。
「すでにこの町の人から私の記憶は消した。残りは七梨君達だけなんだ」
とルシェンが続けると太助が、
「でも何でそんなことする必要あるんだよ、また一緒に住めばいいじゃないか」
と言った。
そしてそれにルシェンは、
「今の私には羅天杖はない、長い間存在できないのだ。
それに今の体は目に見える程度の密度だから。
七梨君、ちょっと私に触ってみて」
と自分に触れるよう言った。
太助がルシェンに触ろうとすると太助の手はルシェンの体をすり抜けてしまった。
「私は無理をしてここに存在しているのだ。
もうすぐ力も尽いて私の世界に帰らなければならなくなるだろう。
そして今度こそ永遠に会えなくなるだろう。
だから記憶を消しに来たのだ」
そうルシェンが言ったときキリュウが、
「嫌だ!あたしはルシェン殿のことを忘れるなんて絶対嫌だ!」
と叫んだ。
キリュウの目から大粒の涙がぼろぼろ零れた。
ルシェンはキリュウのほうに近づいた、
「キリュウ…」
ルシェンがそう言うとキリュウは首を横に振った。
ルシェンは少し困った顔をしながら、
「キリュウ、もし君が私の記憶を消すのを拒めば私が消えた後も永遠に苦しむことになるんだ。
でも記憶を消してしまえば苦しむことはないんだ」
と言うと、
「ルシェン殿は私のことはどうでもいいのか!」
とキリュウは怒鳴った。
ルシェンはそれでも、
「キリュウ、すべての物の間には壁があるんだ。
その壁は超えられるものや超えられないものなど様々であり、そして時には変化する。
今の私にはすべてのものとの間に超えられない壁ができてしまっている。
私とキリュウの間にも。
だがキリュウには私との間に壁があってもまだほかに超えられる壁はたくさんある。
絶対に超えられない壁のある私のことだけを思うよりまだ超えることのできる他の誰かを想うことが大切なんだ」
と説得しようとしている。
そしてキリュウは、
「わかったルシェン殿が私のことを想って記憶を消すのなら…」
と言った。
それを聞いてルシェンは安心した。
「それでは皆さん、記憶を消します」
そうルシェンが言うと触手を出し四人のほうに伸ばした。
触手は体に触れないように体の周りを螺旋状に回っていった。
やがて四人は意識が遠退いた。
四人が気づくと頭の中がさっぱりしたような感じだった。
「あれ、何で皆してこんなところに居るんだ」
と太助が言った。
「さあ。あっキリュウ!なんであんた泣いてんの!」
ルーアンが叫ぶと太助とシャオもキリュウのほうを見た。
キリュウは自分でも何故泣いているのかわからず、また三人の視線が自分にくぎ付けになっているため赤くなった。
そして太助達には昔のような時が訪れた。
そしてそんな七梨家の屋根の上で一人の男が夜空を眺めていた。
やがてその男の体は薄くなりそして消えていった。
というのが今回の話でし。
でもルシェンしゃんもちょっとドジでし、皆しゃんでとった写真を居間に飾ったまま帰ったんでしから。
でも離珠が一番に気づいてよかったでし、離珠も写真を見てルシェンしゃんのことを思い出したんでしからきっとシャオしゃま達もその写真を見たらルシェンしゃんのことを思い出すでし。
だから離珠が写真を片付けておいたでし、離珠えらいでし!
「離珠、おやつですよ」
あ、シャオしゃまが呼んでるでし。
このことはルシェンしゃんと離珠だけの秘密でし。
後書き
意味のわからない点が多々あったかと思いますが、読んでくださった皆様にまずお礼申し上げます。まずこの作品は何が言いたかったかというと実はキリュウが恋をしたらどうなるかということが書きたかったのです。ルシェンはそのための道具だったのです。その割に設定が多いと思ったかもしれませんが次作のために必要なものがあるためやむを得なかった訳であり、それをサポートする言葉が多くなったのです。また、足掛け五ヶ月という労力を考慮してなにとぞ御慈悲ある評価をお願いします。なお、この作品に対する感想、苦情は98sdb155@dbs.htokai.ac.jpの方へお寄せください。ちなみに「夢風」は「メンフェン」です。
(作:マスターD・S)
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