一人きりの紀柳
「万象大乱!!」
キリュウの声が広場に響いた途端に木や土管が大きくなっていった
「ち、ちょっとまてキリュウゥゥゥゥゥ〜」
太助の叫び声を無視するように木が太助に倒れてきた
「うわぁぁぁぁ〜」
ドシャ!!
太助は潰された
ふらふらと頭を抱えながら立ち
「やりすぎだキリュウ迷惑なんだよ」
太助は怒鳴り散らした
「そうか……」
短天扇を閉じ下を向きながら
「わかった…ここから出て行こう」
「い、いやそう言うわけじゃ…」
太助の言葉を無視するように走っていった
「紀柳…」
ヒュゥゥゥゥ
冬の風は寒かった身体より心の方が寒かった
「主殿…今まで楽しい日々をありがとう…」
そう言って短天扇のなかに戻ろうとした刹那
「おっキリュウ」
「翔子殿…」
暗い声で答えた
「ん!どうした元気無いじゃん話してみろよ」
「実は…」
キリュウは今までの事を山野辺に説明した
「―そうだったのか…それにしても七梨の奴勝手だなあいつからキリュウに頼んだのによ!!」
すでに山野辺の右手には握り拳が出来ていた
「よし!キリュウあいつを殴りに行こう」
「いや…いいんだ翔子殿…主殿はとても優しかった今までの主殿はほとんど3日しかもたなかった」
うつむいたまま喋っていた
「中国にいた頃の事だった…」
キリュウは山野辺に太助に会うまでの事を話していった
「万象大乱」
短天扇を振るキリュウ
「うわぁぁぁ」
岩が男の身体に乗っかった
「親父ーーっ」
男の息子だろうかキリュウに石を投げてきた
「もうやめろ…親父がかわいそうだ」
息子は涙を流しながらキリュウに怒鳴った
「だが…」
「息子の言う通りだ…私に恨みか何かあるのかお前なんて奴はいらん」
キリュウは下をむいた
「わかったここから出て行く」
とぼとぼと林の方に向かっていった
「やっと出て行く気になったか」
「よかったわね」
「もう二度と来るな!」
隣近所や男が叫ぶ
その言葉にキリュウは胸が締め付けられるほど苦しかった
町に出ても回りの人はキリュウを避けているように見えた
「私は人に嫌われている…」
・
・
・
・
いつの間にかキリュウは泣いていた
「そうだったのか…」
「私はみんなに必要とされていない…」
一段と泣き声が増して来た
山野辺も暗い表情になっていた
「…リュゥ…キリュウ」
「七梨の声だ」
山野辺はキリュウに言った
「…………」
しかし、キリュウは下を向いたまま泣いていた
「! キリュウ!」
「主殿…!?」
キリュウは泣くのを止めた
「ごめんキリュウ怒ったりして……俺から試練頼んだのに…昨日から疲れていてイライラしていたから…本当にごめん」
「主殿……」
私に謝ってくれる人はいない…すべて自分が悪いと思っていたのに…
太助の笑顔を見たら
こらえていた涙がどっと出てきた
「さあ…帰ろう」
手を差し伸べた
「……」
無言でうなずき真っ赤になりながら太助の手を握った
「主殿…」
帰り道赤くなりながら聞いた
「なぜ、私のために迎えに来た…」
「決まっているだろう」
太助は恥ずかしそうで答えた
「紀柳は…俺の大事な家族だから…」
キリュウにも笑顔が戻った
(この主殿にあえて良かった…もう一人ではないのだ…)
キリュウは心の中で何回も思った
END
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