| 新・守護月天 |
| 〜新しい家族、希奇星天登場!〜 |
| by Ayumi |
「♪おっせんたく〜、おっせんたく〜、せっけんのかおり、おひさまのにおい〜♪」
今日は土曜日。学校は休み。
8月の太陽が洗濯物を本当によく乾かしてくれる。
「これもルーアンさんのおかげですね。」
シャオは洗濯。
キリュウは扇風機の前で暑さにのびている。
ルーアンはお昼寝中。
そして太助は今コンビニにアイスを買いに行っている。
キリュウは暑くてたいへんだろうが、静かで平和な昼下がりだった。
コンビニで、レモンシャーベットやら小豆アイスやら、色々とかってきた太助は
冷凍庫にアイスを入れ、ソファに座ってぼんやりしていた。
と、シャオがリビングに入ってきた。
「太助様、お帰りになっていたんですか。
今日の晩ごはんは、夏野菜のカレーです。
この前、甘口のルー買っておいたんで、キリュウさんも大丈夫ですよ。」
そう言って微笑むと、シャオは台所へ行ってしまった。
しかし、太助は今午後3時をちょっと過ぎたころなのに気がついた。
「シャオ、まだ3時だしさ、晩ごはんの準備はいいからみんなでアイス食べようよ。
せっかく買ってきたんだし。」
シャオは時計を見てびっくりしたようだが、嬉しそうに
「はいっ。キリュウさんとルーアンさんも呼んできますね。」
といって階段をあがって行った。
しかし・・・・・
「た、太助様ぁ。たいへんです!!」
数秒後、いつもの何倍ものシャオの叫び声が七梨家に響いた。
そして、シャオの叫び声を聞いた太助は、一目散に階段をかけ登って行った。
シャオの部屋のドアが開いていた。
叫び声におどろいたキリュウと、起こされたルーアンもシャオの部屋の前に集まってきた。
「どうしたんだ!?」
太助の呼び掛けに反応して、シャオが振り向く。
シャオの手には、さきっちょに星がついた、マンガとかで魔女が持つような杖が握られていた。
「銀青仗(ぎんせいじょう)が、目覚めたんです・・・」
10分後、太助・シャオ・ルーアン・キリュウはリビングでアイスを食べていた。
あんなにたいへんな(たいへんそうな)事態が起こったのに、なぜみんなこんなにゆっくりとアイスを食べているのかと言うと、混乱してなんだかよく分からなくなってしまったシャオと、何か知っているらしく叫ぶルーアン、難しそうな顔して考え込むキリュウ、なにがなんだかさっぱり分からない太助で、会話が混線したためだった。
「とりあえず、落ち着こう。」
という太助の意見に従い、今こうしてアイスを食べているのだ。
ちなみに、シャオはバニラアイス、ルーアンはチョコレート&チョコチップアイス、キリュウはレモンシャーベット、太助は小豆アイス(になってしまった)を食べていた。
キリュウは
「アイスとは冷たくておいしいのだなぁ。」
と、かなり気に入ったようだった。
銀青仗は、テーブルの上に妙な存在感とともに置いてある。
「で、銀青仗ってなんなんだ?」
みんなが食べ終わったころに太助が聞いた。
もちろんシャオに対して、である。
「この銀青仗には、私たちと同じように精霊が宿っています。」
この最初の一言でさえ太助を驚かせたが、シャオの話はこれぐらいの驚きで終わらなかった。
「銀青仗は、私たちのように人から人へ手渡されて主人を探すのではないんです。
銀青仗が目覚める時は、何か悪い事が起きる印。
そして、銀青仗に宿る精霊の主としてふさわしい人がそばにいる時。
だから太助様、銀青仗に宿る精霊を呼び出してはくれませんか?!」
いきなりのはなしで、太助は戸惑った。
(家族がふえるのは嬉しいんだけど、もう部屋がないしなぁ。
それに、銀青仗に宿る精霊がどんな精霊なのかまだシャオは話していないし・・・)
そうなのだ、シャオは銀青仗に宿る精霊がどんな役割を果たす物なのか知っているはずなのだ。
「ねえ、シャオ。その銀青仗に宿る精霊ってどんな事をする精霊なの??」
「それは・・・太助様、この事を聞いたからって銀青仗を捨てたりしないで下さいね。」
シャオは念を押してから話しはじめた。
「銀青仗に宿る精霊は、さっきも話しましたが悪い事が起きる時に目覚めるんです。
銀青仗ガ目覚めるような悪い事って言うのは、とてもすごい悪がなにかを企んでいたりとか、
そう言うイヤな事が起きる時なんです。
銀青場に宿る精霊は、主に不思議な力を与えます。
銀青仗に宿る精霊は、その悪に立ち向かい滅ぼす力を主に与え、共に戦うのが役目のようなってし
まいました。
・・・・私、さっきはあんな事言ってしまったけど、本当は太助様に危ない目にあって欲しくあり
ません。
でも銀青仗ガ目覚めるときには必ず何か起きるんです。
今まで銀青仗ガ目覚めた時の主は、戦いで亡くなられる方が多かったんです。
私は太助様にそうなって欲しくありません。
でも、何か起きるんだったら銀青仗の精霊に力を貸してもらった方が有利なのはたしかなんです。
太助様に戦って欲しいわけではないんです。でも・・・・・」
ものすごく辛そうに、シャオは話してくれた。
シャオの様子から、銀青仗ガ目覚めた時に起きるなにかが本当にたいへんで、辛く悲しい物だと知った太助は決意した。銀青仗に宿る精霊を呼び出そう、と。
「銀青仗をこのままにしててもその『悪い事』から逃げれるわけじゃないんだろ?
だったら戦おうよ。こんなに力強い味方も居る事だし。
銀青仗に宿る精霊を呼び出して、一緒に戦ってみよう。」
太助のこの言葉を聞いて、シャオは泣き出してしまった。
『自分のせいだ』とでもいうように。
しかし、ルーアンとキリュウは一見普通そうだった。
「では、戦いに向けて主殿に新しい試練を与えねばならんな。」
「よっしゃ!!たー様、一緒に戦ってこの世の平和を守るのよ!!!」
ルーアンなんかのりのりだ。
「で、銀青仗から精霊を呼び出すのって、どうすればいいんだ?」
泣いてしまってしゃべれる状態じゃないシャオにかわって、ルーアンが答えた。
「その銀青仗を握れた者には・・・なんだったかしら?何とかの精霊の・・・
あぁ、もういいわ。とにかくその杖を握れればいいのよ。」
言われたとうり、銀青仗を握る太助。
しかし・・・・・
「なんで出てこないんだ??いつのまにか汚れちゃったのかなぁ・・・・」
銀青仗は何ごともなかったかのように、太助に握られていた。
「ち、ちがうんです。銀青仗は、呼び出した主に辛い戦いをさせなければなりません。だから、まちがってさわってしまった者までも巻き込まないように、本当に銀青仗の精霊を呼び出したいと思うものだけが呼び出せるように、呪文が必要なんです。」
なんとか泣き止んだシャオが、教えてくれた。
「そうか・・・それで、呪文って??」
「『来々、希奇星天(ききせいてん)』、です。」
太助は頷くと、銀青仗を握りしめて呪文を唱えた。
「来々、希奇星天!!」
とたんに、眩しい銀と青の光が溢れ、銀青仗から一人の少女が現れた。
シャオの紫がかった青にくらべ、淡くて水色と言う方があっているような青に銀色が少し入った
透き通るような輝く髪。
髪と同じく、水色のような青色の眼。
しかし、太助と同じくらいの年齢に見える彼女の眼は、曇り空のように少し灰色がかっていた。
「はじめまして、主様。わたしは希奇星天のティオと申します。
主様に奇跡の力と希望を与えるのがわたしの役目です。
わたしは、最近目覚めた悪を滅ぼすべく、主様とともに戦うために参りました。
戦いは、厳しくてつらいです。
しかも、今回は何百年も前にわたしとその当時の主様が封印した悪の蘇った者です。
並み大抵の力ではかないません。
悪がこの世を滅ぼすまで、幸せに過ごすのも一つの選択肢です。
主様がそちらを願うなら、私はまた銀青仗に帰ります。
もし、わたしとともに戦って下さるのならそれにこした事はありませんが・・・・
どちらを選んでも構いません。
わたしは、目の前で主様の死を見たくありませんから・・・・・」
ティオの声は、優しかった。
でも、その優しさをはるかにこえる悲しみが彼女の声には隠れていた。
「そのことなら、もう話し合って決めた。
俺達は、ティオと一緒に戦うって。」
「でも、本当にいいんですか?!
命の保証はないんです。
そんな危ないめにあわせる精霊とともに、なぜ戦うんです?!
わたしは主様が目の前で死ぬのを何度も見てきました。
主様とともに戦っていた悪を倒すのがせめて、最後の役目だと思い、主様が亡くなったあとも戦い、悪を滅ぼしては銀青仗に戻るのをくり返していました。
わたしが戦ってきたのは、人間じゃない者たちです。
どんな手を使ってわたしたちを殺そうとするか分かりません。
そんな悪と、なぜわざわざ戦うんですか。
主様が戦ったって、戦わなくたって、未来は同じかもしれないんですよ!?」
「つらかったんだな・・・・・」
半泣きになりながら必死にしゃべるティオに、太助は呟いた。
「えっ!!」
ティオは一度大きく眼を見開き、泣き出してしまった。
「ティオは、悪と戦うために来たんじゃなくて、俺達に奇跡の力と希望を与えるために来たんだろ。
だったら、笑顔で。な。
あ、そうだ。
まだ俺の名前言ってなかったな。
俺は、七梨太助。
よろしくな。」
太助が自己紹介すると、シャオやルーアン、キリュウも自己紹介した。
「ティオさん、お久しぶりです。
太助様をお守りしている、守護月天シャオリンです。」
「現れてそうそうに暴走するなんて、あんたらしいわね。
た−様に幸せを授ける慶幸日天ルーアン。忘れたわけじゃないでしょね。」
「ティオ殿とともに戦う事を試練を受け止め、また一段と成長してくれると思うのだが・・・
主殿に試練を与える万難地天のキリュウだ。」
ティオはよっぽど必死だったらしく、周りに居たシャオ達に気付いていなかったらしい。
「月天日天地天・・・・・3精霊同主・・・
こんなこと、あるんだ・・・・」
ティオは太助を振り返って言った。
「主様って、本当にすごい方なんですね。
3人の精霊を従えた人なんて、今まで居ませんでしたよ。
はぁ・・なんだかやる気が出てきました。
主様、わたしの力、あなたのために使わせて頂きます。」
泣いてスッキリしたのか、それとも立ち直りの早い性格なのかしらないが、
さっきとはうってかわってきっぱりと言い切るティオだった。
太助はふと思った。
(ティオの奇跡の力を借りれば、シャオを守護月天の宿命から解き放てるかもしれない・・・
ってなに考えてんだ俺は!
自分の力でやらなきゃ、意味ないだろうが!!)
やっとティオも七梨家の一員になり、ティオの瞳が青空のように晴れて行くころ、
いつものメンバーが現れた。
ピンポーン!!
「七梨せんぱーい、あそびましょ〜!!」
「おぉシャオちゃん!俺の熱き魂が、君を呼んでいる〜!!!」(?)
「ルーアンせんせ〜。こんにちわ。あれ?こんばんわかなぁ。」
「シャオさん、うちの母特製まんじゅうをお持ちしました。」
「よっ。七梨、シャオ。」
もう分かったと思うが、上から花織、たかし、乎一郎、出雲、翔子だ。
いきなりリビングに入ってきた5人は、七梨家の新しい家族に興味津々だった。
「わぁ〜。新しい精霊さんですね。よかった、8人〜12人用のゲーム持ってきてて。」
花織はさっそく持ってきたゲームを出し始めている。
「お!!4人目の精霊か・・・さすが、精霊はみんな美人だなぁ。
でも、俺はシャオちゃん一直線だぜ!!」
たかしは一人叫んでいる。
「こんにちは。はじめまして。僕乎一郎です。」
なんだか妙に礼儀正しい。
「シャオさんと同じくらい、美しく可憐だ・・・・
あぁ、わたしとしたことが・・・」
出雲はどうやら悩んでいるようだ。
「お、七梨め。またかわいい精霊呼び出しやがって。
でもな・・なんだかシャオに似ているような・・・・・・」
翔子の意見が一番真相に近いと思う。
「はじめまして。
主様のお友達のみなさんですね。
わたしは、希奇星天のティオです。
主様に奇跡の力と希望を与えるのが役目です。
そのかわり主様を戦いに巻き込む事になりますが、主様がそれでもいいとおっしゃって
下さったので、主様におつかえする事になりました。
これからよろしくお願いします!」
こうして、太助の長い1日はティオを迎えたいつもと違う空気と共に終わった。
あとがき
こんにちは、Ayumiです。
書いていて、思いました。
なるべく、なるべく、和やかムードのお話にしよう、と。
戦わないといけないのでそれは無理かも知れませんが、せめて家や学校では
平和に過ごして欲しいと願っています。(わたしが書くのに)
あと、あの5人の登場シーンで乎一郎を忘れた事に気付かず、「何か1人足りないなぁ」
と悩んでしまいました。
乎一郎ファンの皆様、すみません。
さて、続く第2話はティオの過去について
「新・守護月天 〜希奇星天のつらい過去〜」
なんか、ティオちゃんにかなりかわいそうな事してますね、わたし。
最後ぐらいはハッピーエンドにしてあげたいと思って・・・
ってこれ言ったらおしまいですね。
では、第2話でぜひ会いましょう。
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