気神大天飛騨 6
飛騨とキリュウの共同試練

下編

「神武覚醒!!」

「気反来!!」

「地気集来!!」

飛騨の声が山にこだまする。
そしてその度に、シャオさん救出隊員の悲鳴が聞こえた。

「はぁはぁ・・・飛騨君もなかなかやりますねえ・・・ですが、こっちも負けてはいられませんよ、太助君、野村君、遠藤君」
「ああ・・・そうだな・・・」
「この俺がシャオちゃんを一番に助け出して・・・」
たかしは不純な笑みを浮かべながら言った。
「たかし・・・お前何考えてんだ?」
太助の質問にたかしは大慌てで答えた。
「い、いや・・・な、なにも・・・はは・・・」
「ルーアン先生は絶対に僕が助けるんだ!」
三人が気合いを入れている所で、太助が口をはさんだ。
「元気だなぁ・・・お前ら・・・」
すると、出雲が不気味な笑みを浮かべながら言った。
「太助君、そんな事だからじじくさい、とか言われるんですよ」

そうやって話していると、後ろから声がしてきた。
「貴方達、もう休憩ですか?まだまだこんなものではありませんよ」
飛騨の声だった。

「飛騨君、いくらなんでも四対一で勝てると思っているんですか?」
出雲がそう言うとたかし達も乗ってきた。
「このオーラの力で絶対にお前からシャオちゃんを助け出してやる!!」
「ルーアン先生は絶対に僕が!!」
だが飛騨はやはり落ち着き払っている。
「ずいぶんと平和ですね。現に私は二十一対一を四対一にしました。これでもまだ勝てると思っているんですか?」
「何だと・・・」
太助がそう言うが早いか、飛騨は神武玉を握った。
「神武覚醒!!」
すると飛騨の乗っていた木が突然巨大化し、飛騨の姿は四人からはもう見えなくなった。

別の木の上から飛び降り、地面に降り立った飛騨は神武玉に気を込めた。
そしてそこには、四人の姿の映像の様な物が・・・

「くそっ、このままじゃラチが開かねえ」
「何か作戦を考えないといけませんね」
「どんな?」
出雲が言いかけたが、それを乎一郎が言った。
「四人で別々に動くって言うのは?今までは四人で固まってたから見つかると大変な 目に合ってきたけど、 別々に動けば・・・さ・・・」
「・・・・・・どうする?」
太助が全員に意見を求めたが、出雲も同じ考え、ということでそれに決まった。

「・・・それでも、一人ずつ倒していけば・・・」
飛騨はそう呟いて神武玉を手から離した。
映像は消えたが、その後に、このような話し合いが行なわれた事は飛騨は知る由も無い・・・・

「いくら四人で別々に動くといっても、完全に離れ離れになるのはまずいです。
何処かで落ち合いませんか?」
出雲は賛成を求めただけだったようだが、たかしはすでに決まったかのように言った。
「よし、じゃあ二時間後にこの山の頂上で落ち合おう!」

こうして四人はバラバラになった。

そしてその後、四人の行動に変化が現れた。

「見つけましたよ!野村さん!!」
「!! 飛騨!!・・・残念だけど、トンズラさせてもらうぜっっ!!」
「逃がしませんよ!!気反来!!!」
飛騨はそう言ってたかしの前にある木を横倒しにさせて逃げ道を封じた。
が、たかしはその上を必死によじ登ってそこから逃げ出した。

「宮内さん!!・・・さっきは野村さんに逃げられましたが、今度はそうは行きませんよ!!地気召来!!」
「くっ・・・・・・このまま・・・捕まってたまりますか!!」
出雲は一度気絶しそうにはなったが、すぐに体制を立て直し、そのまま逃げていった。
「私の足なら追いつけますが・・・まあいいでしょう」

「遠藤さ・・・」
乎一郎の方は、飛騨と目が合うが早いか、速攻で逃げていった。
「何か・・・変ですね・・・・・・」
飛騨には四人の行動がさっきまでと違う、それだけしか分からなかった。

二時間後、とにかく逃げまくっていた四人は、頂上に集結した。

「ふう、いくらこれを目標にしてたって言っても、これじゃあさっきと何の変わりも無いよ」
開口一番、太助がこう言った。
そして出雲がそれに相づちをうつ。
「そうですね・・・逃げるだけでは何にもなりません。何か・・・総攻撃を掛けるというのはどうでしょうか?」
『総攻撃?』
それに三人が一斉に反応した。
そして出雲が説明を加える。
「つまりですね、一人一人がバラバラになって攻撃を掛けるんじゃなく、四人一斉に攻撃を掛けると言う訳です」
「いや、それは分かるんだけど・・・」
そこへたかしが水を差した。
「いくら総攻撃をかけても、飛騨は絶対に神武玉を離したりはしないと思うぜ」
「ですから、今ここには四人居るでしょう?三人が飛騨の気を引き付けている間に、残った一人が飛騨君から神武玉を奪う、ということで・・・」
「その一人って言うのはどうやって決めるんだよ」
しばしの沈黙のあと、太助が口を開いた。
「俺に行かせてくれないかな・・・」
「太助?」
「・・・心に誓ったんだ。シャオはこの俺が助けるって・・・だから、頼むよ」

「・・・仕方有りませんね。いいですよ、太助君」
「僕も・・・僕じゃあ力不足だろうし・・・」
「・・・・・・分かった」

いやに物分かりがいい三人だ。

「・・・じゃあ、行きますか。野村君、遠藤君」
「はい、出雲さん」
「よし。じゃあ太助、ちゃんと決めろよ!」
「・・・ああ!!」

そして暫くしてから、三人は飛騨と出会った。
「ついに見つけましたよ、飛騨君。観念しなさい」
「・・・・・・」
飛騨は黙ったままである。そしてその間に、たかしと乎一郎が飛騨の後ろに回り込んだ。「おう飛騨!これでもうお前は逃げれないな。おとなしく捕まったらどうだ?」
「・・・・・・」
「飛騨さん?さっきからずっと黙ってるけど、どういう事?」
「・・・主様が居ませんね。何か罠でも有るのでしょう?」
三人は目を合わせた。三人ともが“しまった”と思ったのだろう。
「図星ですか・・・・・・いいでしょう。その勝負、受けて立ちましょう!!」
飛騨はそう言って神武玉を握った。
「神武覚醒!!」
すると木の枝が三人の上から降ってきた。三人がそれ避けようとすると、またしても飛騨が神武玉を持った。
「地気召来!!」
「うぐっ・・・」
三人のうち、乎一郎は気絶したが、出雲とたかしはしぶとく立っている。だが、それで
も容赦無く木の枝の洗礼は続いた。
「まだまだ、こんなものではありませんよ!気反来!!」
すると三人の周りの地面が盛り上がってきた。
「これでもう逃げれないでしょう。暫くは耐える事ですね」
飛騨が言い終わるかどうかの所で、太助が上から飛び降りてきた。
「これ以上待っていたら状況は悪くなるだけだしな。一気に決めてやる!飛騨、来い!!」
「来るべきなのは主様の方でしょう。私はこのままにしているだけでもいいのですから」
「・・・それもそうだな。よし、覚悟しろ!!」
飛騨はそう言うと口元に微妙な笑みを浮かべてからこう言った。
「一つ面白い事をしましょう」
「面白い事?」
「主様が、試練によってどれだけ強くなったか・・・」
「どうやるんだよ」
「神武玉をここに置きます。そして主様はここに立って下さい」
太助は言われた通りに立った。
「神武玉は主様に気を当て続けるますので、気絶する前に神武玉を握れれば主様の勝ちです」
「いいだろう。早くやってくれ」
「分かりました。では・・・神武降臨!!」

「ぐっ・・・く・・・」
太助は顔を歪めながらも一歩、また一歩と神武玉に近付いていった。
五分後、まだわずかだが動き続ける太助を前にして、飛騨は呟いた。
「なるほど・・・やはりキリュウ様の試練も無駄ではなかったようですね」
太助は少しずつ、少しずつ進んでいく。

「太助!がんばれ!!あと少しだ!!くっ」

「太助君!あと一メートルです!がんばって下さい!!痛っ!」

「あと・・・あと一メートル・・・」

「ぐっ・・・・・・」

太助は最後の力を振り絞るように手を伸ばした。
「とっ・・・届いた・・・」
そして太助はそのまま倒れ込んだ。
「さすが主様です。よくこの勝負に打ち勝たれた・・・」
「これで・・・これでシャオは・・・」
「主様、宮内さん、野村さん、遠藤さん。帰りましょう。神武覚醒!」

こうして飛騨による試練パートIIは幕を閉じた。

してその夜、太助の部屋には、傷だらけの太助と飛騨が立っていた。
「飛騨・・・これで・・・シャオを返してくれるんだよな・・・」
「はい・・・」
「・・・じゃあ・・・頼むよ・・・」
「・・・神武開放!!」

神武玉から光が放たれ、その光の中からシャオの姿が現れた。
「シャオ・・・」
「太助様?何でそんなに傷だらけなんですか?」
「シャオリン様、主様の傷は、シャオリン様を助けるために負った傷なんです」
「わ・・・私のために・・・ですか?」
「はい。何故そうなったかというと・・・かくかくしかじか・・・という訳なんです」

「太助様・・・私のために・・・」
「言っただろ。俺はシャオと、ずっと一緒に居たいって」
「太助様ぁ・・・ありがとうございます・・・私なんかのために・・・」
「いや・・・シャオだからこそできたんだよ。うん」
「私だから・・・」
「俺は・・シャオの事が、世界で一番好きだからな!」

太助とシャオが二人だけの世界に入っていると、飛騨が水を差すように言った。
「主様、シャオリン様。私は失礼させてもらいますよ。どうもこういう雰囲気は苦手のようです」

飛騨はそう言って部屋から出ていった。
そしてその夜、太助とシャオの間でどんな会話が、どんな出来事が起こったかは、誰も知らない。

ルーアンは次の日の朝、無事に黒天筒から出されたらしい。
出てきたが早いか、シャオの目の前で太助に抱き着いたとか・・・?


あー・・・やっと終わったぁ・・・
まぁ・・・ちょっとは圧倒的な強さが書けたかな?

ネタが詰まってきて、その分話が進み難くなっちゃうんですよ。
まあ書けたからいっか♪♪

1999/6/1 TAKE


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