メモリーズ
第3話
傷つけたのは憎いからじゃない
「・・・とんでもないことになったな・・・」
「うん・・・」
太助達はこの状況の中、呆然としていた。
シャオの主、鏡明とルーアンの主、剣鳳は同じ国の国王候補。
詳しいいきさつは知らないがこの戦いに勝った方が時期国王ということになっているらしい。
「心配か?」
「そりゃあ・・・なぁ。キリュウはどう思ってるのさ」
「私には関係ないのことだ」
「おいおい、それってちょっと冷たくない?」
「よせ野村。キリュウの言うことも一理ある。
キリュウにとっちゃこの国の王が誰になろうと知ったこっちゃないさ。
下手にどちらかに手を貸して後々面倒にすることもないだろ」
翔子の悟ったような解説。要するにこの場合キリュウは中立の立場をとらなければいけないのだ。
「・・・そうだ!!キリュウ!!」
「?」
とある大平原にて。
「鏡明よ・・・最後にもう一度聞く。国王の座をどうしても諦めないつもりか?」
ルーアンの陽天心じゅうたんに乗って剣鳳が問いかけてきた。
「何度も言わせないでくれ・・・私はなんとしてでも国王になる」
「・・・・そうか・・・ならば戦うしかないのか・・・・」
剣鳳が自軍の中へと戻っていく。
「鏡明様・・・」
「大丈夫・・・私達は負けないよ」
心配そうにするシャオに鏡明は優しく微笑む。
「行くぞ!出陣だ!!」
今戦いの火蓋がきって落とされた!
「うわぁぁぁ・・・」
「これが・・・戦争かよ・・・」
太助達はキリュウの短天扇に乗って上空から見下ろしていた。
「何もわざわざ見に来ることないだろう」
「でも心配じゃんか、シャオが」
「・・・そなたがシャオ殿にどうしてそこまでこだわる?」
「・・・それはっ・・・」
キリュウの問いに太助は答えることが出来なかった。
鏡明の軍はルーアンの陽天心の前に苦戦していた。
剣や槍が自分で攻撃してくるのだ。
つまりそれは敵の数が多いことを意味する。
「戦況は厳しいな・・・」
「鏡明様、私の星神で空から奇襲を仕掛けます!」
「うむ。頼む」
一方、乎一郎、出雲、花織は離れた所で見物していた。
「遠藤先輩、あんまり近付くと巻き添えくいますよ」
「だって・・・ルーアン先生が・・・」
「全く、君のその根性には感服しますよ・・・」
その時遙か上空からシャオの星神が降りてくるのが見えた!
「ルーアン先生!!上ーーーーー!!」
それに気付いた乎一郎が思いっきり叫んだ!!
「上!?」
その声が届いたらしく、ルーアンはちらっと上を見上げた。
「!!シャオリンの星神!!」
すぐにそれに気づき慌てて黒天筒をかざす!
「陽天心召来!!」
すぐさま陽天心をかけられた武器達が星神を迎撃していく!
「遠藤君!シャオさんの星神をぉぉぉ!!」
「だってルーアン先生ピンチだったんだもーん!!」
「うぅむ・・・奇襲は失敗したかぁ」
「すいません、鏡明様・・・」
「いや、仕方ない。何か次の手を・・・」
その時!
「鏡明!勝負だ!!」
「何っ!?」
なんと馬に乗った剣鳳が自ら本陣に乗り込んできた!!
「鏡明様!!来々・・・」
「待て、シャオリン!・・・・敵陣に自ら突っ込むとは・・・無謀だな」
「ここで一対一の勝負だ!それなら文句はあるまい」
「いいだろう・・・シャオリン、邪魔が入らないようにしてくれ・・・」
「しかし・・・」
「頼む・・・・」
上空の太助達にもその光景が目に飛び込んできた。
「おい!見ろ!!」
「鏡明さんと・・・もう一人、あれがルーアンの主か!?」
「大将同士戦うのか!?キリュウ、出来るだけ近付いてくれ!!」
「行くぞ!!」
「おおっ!!」
鏡明と剣鳳が真っ向から剣で斬り合う。
「たあっ!てやっ!!」
「くっ、やるなっ!!」
こちらは鏡明が幾分有利のようだ。
なんといっても気迫が違う。
剣鳳も必死だが鏡明はまさに死に物狂いといった表情だ。
「すっげぇ・・・鏡明さん、余裕じゃん・・・・」
「でも・・・そのわりにはシャオが心配そうだな?」
二人の戦いの様子を見守るシャオはとても不安そうだ。
キィン!!
二人の剣が組み合い、向かい合う形となった鏡明と剣鳳。
「鏡明!!そこまで国王になりたいというのか!?」
「この国は治安が悪い、だから私の手で平和な国にしたいんだ!!」
「今のお前には無理だということくらいわかっているだろう!!
お前は重い病を患っていて安静にしていなければいけないんだぞ!!」
「えぇっ!?」
剣鳳の爆弾発言に驚く太助達。
「無茶は承知さ、だがこの国の衰退は日に日に進行している。
呑気に横になっている場合ではないのだ!!」
「お前の愛国心はたいしたものだがこのまま黙ってお前を死なせるわけにはいかない!!」
キィン!!
再び剣を交え合う二人。
「・・・・二人とも・・・真剣にいろいろ考えてるんだ・・・」
「・・・・・!!!」
ダッ!
「おい!!太助!!どこ行くんだ!!」
「こんな戦い無意味だ!!俺が止める!!」
「無茶言うな!!こら戻ってこい!!」
キィン!
二人の戦いはまだ続いていた。
最初に比べ鏡明のペースが落ちてきた。
剣鳳もねばり続け、すでに気力の戦いとなっている。
「はぁ・・・はぁ・・・剣鳳・・・私は・・・諦めないぞ・・・」
「鏡明・・・お前という奴は・・・」
再度にらみ合う二人。
今度こそ決着をつけるつもりだ!!
「うぉぉぉぉぉ!!」
「てやぁぁぁぁぁあ!!」
「待ってくれーーーーー!!」
「「!!!」」
いきなりの乱入者に驚く鏡明と剣鳳。
現れたのは太助である。
「何故君がここにいる・・・早くここから離れるんだ!!」
「もうやめてくれよ!!これ以上戦ったって無意味だよ!!
こんなことしたって悲しいだけだよ!!」
「危ないですよ!離れていてください!!」
慌ててシャオが太助を止めに入ってくる。
しかし太助はそんなシャオを睨み付けた!
「シャオだってわかってるはずだ!!この戦いに意味なんかないってことを!
なんで止めようとしないんだ!!主の言うことを聞くだけが守護月天じゃないだろ!!」
「それはっ・・・・」
言葉につまってしまうシャオ。
「鏡明さん・・・俺はこの国のことを何にも知らないけど
病気を治してからでも遅くないはずだよ!!
それまできっとこの人が頑張ってくれるよ!
だってこんなに真剣に鏡明さんのことを考えてるんだよ!!」
その言葉に剣鳳が続く。
「鏡明・・・お前が国王として十分に回復するまで私が
この国を守ってみせる・・・もちろんその間も参謀として出来る限り
お前の意見を尊重する・・・それとも俺はそんなに頼りにならんか?」
「剣鳳・・・・」
鏡明の目にかすかに光るものが見えた。
「・・・私の療養の間、この国を守りきると誓えるか・・・」
「誓うとも。この剣鳳、必ずやこの国を死守してみせる!」
「・・・そうか・・・・」
ふっと安堵のため息をついた鏡明。
それを見て剣鳳も安心して剣を降ろす。
これで二人は和解すると思われた。
「ぐっ!?」
ゲボッ!!
「鏡明!?」
「鏡明さん!!」
「鏡明様!!!」
だが突然、鏡明が吐血した!!
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