メモリーズ
第4話
また春に会いましょう
「・・・よぉ・・・みんな・・・」
「みんなが剣鳳さんの所にいたとはね・・・」
「まぁ・・・全員揃ってよかったじゃねーか・・・」
太助、たかし、翔子、乎一郎、花織、出雲と
南極寿星によってこの時代に来たメンバーがようやく再会した。
でもそのわりにはあまり元気がない。
ここは鏡明の屋敷。今ここに国の重要人物が集結している。
鏡明を見届けるために・・・・
鏡明は死んだ。やはり無理がたたって
病気をこじらせてしまった。この前の剣鳳との戦いが彼の体に致命的な負担を与えてしまったのだ。
鏡明の葬式にたくさんの人物が参列した・・・
その中には当然剣鳳の姿もあった。
「鏡明・・・・・」
多くを語らない剣鳳。
何かをこらえているかの様に見える。
「剣鳳様・・・」
傍らにいるルーアンもさすがに剣鳳にかける言葉もない。
「剣鳳さんは・・・ずっと鏡明さんのことを心配していたんだね・・・」
「ああ・・・」
聞いた話によると鏡明と剣鳳は幼き頃からの親友であったらしい。
知の鏡明、武の剣鳳とこの国きっての名武将であった。
ところが時期国王を決める際に意見が対立した。
実を言うと剣鳳は鏡明の方が国王にふさわしいと考えていた。
だが鏡明の体を気遣ってなんとか療養に専念させようと自分も国王候補に名のりをあげた。そしていつしか二人は争うようになってしまっていた・・・
「あれ?シャオの姿が見えないな」
「シャオならきっと・・・あの部屋だ」
「?」
鏡明の部屋。
「・・・・・・・」
無言のまま立ちつくすシャオ。
よほど泣いたのか目が赤い。
「入りますよー」
「あっ、シャオ。やっぱりここにいたのか」
「皆さん・・・」
入ってきた太助達を見て、笑顔になろうとするが
無理をしてるのがバレバレである。
「・・・・ごめんな」
「え?」
「この前ひどい事言っちゃって・・・守護月天として仕える主は
まだ2人目だもんな・・・どうしていいかわかんなかったんだよね・・・」
「いえ・・・あなたの言うとおり、やはり私も鏡明様を説得するべきでした。
こうなる前に止めなければいけなかったはずなのに・・・
守護月天失格です・・・・」
再び落ち込んだ表情になるのを見て慌ててフォローに入る。
「しょ、しょうがないよ・・・誰にだって失敗はあるさ。
この次はきっちり守ればいいじゃないか!!」
「元気出せよシャオちゃん!」
「あなたに泣き顔は似合いませんよ」
たかしと出雲も一緒に励ましてくれる。
でも心の傷は相当深そうだ。
当分シャオはこのままだろう・・・
「シャオ・・・これからどうするんだ?」
「私は支天輪に帰ります。今は何も考えたくなくて・・・・」
「そうだね・・・今はゆっくり休んだ方がいいよ」
「はい・・・」
そう言うとシャオは支天輪を取り出した。
「皆さん・・・・」
「ん?」
「ありがとうございました・・・・」
「元気でな・・・」
シュッ・・・・
そしてシャオは支天輪へと帰っていった・・・・
「挨拶はすんだのか・・・」
「キリュウ!いつの間に・・・」
シャオが支天輪に帰ったすぐ後にキリュウが入ってきた。
「キリュウ・・・いるんならお前もシャオに会えばよかったのに・・・」
「私がどうこう言える立場ではない。
第一お前達が真剣に話している最中に入ってこれるか」
「あ、そう・・・キリュウはこれからどうするつもりなんだ?」
「もう私がこの時代にいる必要はない・・・
また短天扇に戻って別の時代に現れるとしよう・・・・」
「そっか・・・いろいろ大変だろうけど頑張ってな」
「ふっ・・・・」
キリュウはふと太助の方を見つめた。
「もし本当に未来でそなたが私の主になった時は
ビシビシ鍛えてやる、覚悟しておけ」
「あぁ・・・・」
そう言ってキリュウは去っていった・・・
「どうじゃった?この時代に来た感想は?」
「じーさん!!」
キリュウが去った直後、いきなり南極寿星が現れた!
「どこ行ってたんだよ。こっちはいろいろ大変だったんだぞ」
「阿呆、大変じゃなきゃこの時代に来た意味がないじゃろ」
「はぁ?」
意味がわからない一同。その中から太助が話しかけてきた。
「じーさん・・・・これからこの国どうなるんだ?」
「剣鳳が国王となって国の回復に努めた・・・
慶幸日天の協力もあり、しばらくは平和な時代が続くが・・・
剣鳳亡き後、再び国が衰退し、後に隣国に攻め滅ぼされた・・・・」
「そうか・・・・」
剣鳳は鏡明のためにも一生懸命頑張ったんだと思う・・・
国が滅びてしまうのは歴史上、仕方のないことだ・・・・
「さぁ・・・もうよいじゃろう。現代に帰るぞい」
「ああ・・・・」
「では・・・」
南極寿星が杖を掲げると杖の先から光が放たれた。
その瞬間太助達の姿は消えた。
現代の太助の家。
「さて・・・それではシャオリン様を呼ぶぞい」
すると支天輪の中にシャオの姿が現れた。
恐らく南極寿星に強制的に戻されているのだろう。
「なんのつもりだ・・・南極寿星・・・・」
「お主達もよーくわかったじゃろう。
シャオリン様がいかに苦しい時代を生き抜いてきたか。
こんな平和な時代で生きてきたお主達に到底考えつくまい」
「何が言いたいんだ・・・」
「はっきり言う、お主達にシャオリン様を任せられん。
このままではシャオリン様が不幸になるのは目に見えてるからの。
じゃから・・・今ここで別れを告げてほしい」
「なんだと!?」
「そんな・・・無茶苦茶だ!!」
「これがシャオリン様を救う唯一の方法じゃと儂は考えておる。
さぁ・・・心の決心がついたら別れを・・・」
ガシッ!
「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」
いきなりたかしが南極寿星に掴みかかり大声で叫んだ!!
一番近くにいた南極寿星は耳が痛くなっている。
「な、なんじゃい・・・・」
「シャオちゃんと別れろだぁぁぁぁぁ!?
お前に何の権利があってそんなことが言えるんだぁぁぁぁぁ!?」
「でぇぇぇい叫ぶな!!儂はシャオリン様のためを思って言ってるのじゃ!!
お主にシャオリン様を幸せになどできん!!」
「俺の熱き魂に不可能はなーーーーーーい!!」
根拠のない自信を思いっきり自慢するたかし。
だが、たかしなりに真剣だという気持ちは伝わってくる。
「野村君の意見はともかく私もシャオさんと別れるなど納得しません。
シャオさんはいずれ私のものにするのですからね」
「出雲・・・」
ちょっと引っかかるとこもあるが出雲もシャオにいてほしいという気持ちは同じだ。
「せっかくシャオがこの時代で人並みの幸せをつかみかけてるんだ。
それを邪魔しよーってんならじーさん・・・ただじゃおかないぜ?」
翔子の声はドスが聞いている。恐らく本気だ。
「シャオちゃんいなくなっちゃったらきっと寂しくなるよ・・・
ルーアン先生だってそう思ってるはずだよ!!」
乎一郎もまたシャオのことを真剣に心配している。
「・・・・あたしも反対です・・・」
「愛原・・・」
「かっ、勘違いしないでください!
先輩が悲しむ所を見たくないだけですからね!!」
花織もまた太助達に賛成してくれた。
「ぬぅぅ・・・どいつもこいつも・・・お主ら古代中国で何見てきたんじゃー!!
お主らにシャオリン様を救うことなぞ出来るのかー!?」
「じーさん・・・前にも言ったはずだ・・・いつか必ずシャオを救う方法を
見つけるって・・・・俺は諦めないぜ。それはここにいるみんなも同じのはずだ!」
太助の言葉に全員が頷く。
「太助様・・・・みんな・・・」
それぞれの言葉に嬉しくて涙を流すシャオ。
「だぁぁぁぁ!!認めんぞ!儂は断じて認めんぞー!!」
地団駄を踏む南極寿星であったが、
シュゥゥゥゥゥゥ・・・・・・
「みんな・・・ありがとう・・・・」
「シャオ・・・・」
南極寿星の拘束を抜け、シャオは支天輪から再び現れた。
「会いたかったぜシャオちゃん!!」
「ご無事でなによりです、シャオさん」
「シャオ・・・よかった・・・・」
「よかったね!シャオちゃん!!」
「まっ・・・いいか・・・・」
たかし、出雲、翔子、乎一郎、花織も
シャオの帰りを快く受け入れてくれた。
「なんでこうなるんじゃろう・・・・」
隅に追いやられた南極寿星は
1人ぽつんとその様子を見ていた。
そこへ、
「どうなってんの、これ・・・」
「・・・一体何があったのだ?」
ルーアンとキリュウがやってきた。
2人はさっきまで寝ていたので状況がわからない。
「そうか・・・シャオリン様もそうじゃが
お主達も覚えておらんのじゃな・・・・」
「はぁ?」
「いや、なんでもないわい。しかし全くとんでもない奴らじゃ・・・・
だがこの連中ならもしかしたら本当に・・・・まぁ期待せずに待ってやるわい」
そうつぶやいて南極寿星は支天輪の中へ帰っていった・・・
運命は変わり始めてるのかもしれない。
恐らく2人が出会ったあの春から・・・
END
後書き
これにてメモリーズは完結です。
このネタは前から考えてあったんだけど
かなり難しくて、完成まで随分時間がかかりました。
今回は随分月天らしい作品になったかと思います。
シャオの周りには太助だけじゃなくて
他にもいっぱいいるんだぞ、と。
ところで全4話の各サブタイトルは
それぞれ違う曲の歌詞です。(ただし歌ってる人は同じ)
わかった人は個人的に誉めてあげましょう(おいおい)
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