さぁ
「はぁ・・・・」
鶴ヶ丘町の公園の中、ベンチに座ってため息をつく青年がいた。
「そう悩むなって・・・」
彼の相棒であるギターを持った青年が励ましの言葉をかける。
「新しい曲のイメージが・・・わいてこない・・・」
「だからこうしてこの町に来ているんじゃないか。息抜きついでにいいテーマ探しにさ」
「うーーーん・・・・」
その時公園に誰かが入ってきた。地元の少年だろうか?女の子を連れて走っている。
やけに慌てているが・・・・
「万象大乱!」
ドッガァァァァァン!!
「ええええええええ!!」
突然空から巨大なはさみやカッターが降ってきた。
「キリュウぅぅぅぅぅ!!何もこんな時にぃぃぃぃぃ!!」
「試練だ。耐えられよ」
どこからか別の女の子が現れる。しかも・・・・空を飛んでいる。
扇のようなものに乗って。
「な・・・なんだぁ!?」
驚きのあまり腰を抜かす二人の青年。
そこへ新たに別の女性が現れた。
「待ちなさぁぁぁぁぁい!!」
「やめろぉ、ルーアン!!」
「陽天心召来!!」
その時女性の放った光が偶然青年のギターに当たった!
「うっうわぁぁぁぁぁぁ!!」
「俺のギターがぁぁぁぁぁ!!」
突然ギターに手足が生えてひとりでに動き始めた!
「よぅし、いけぇっ!!」
そのまま少年に突っ込むギター!その時最初に少年と一緒にいた女の子が前に出た。
「来々、車騎!!」
「お、おいシャオ!?」
どっかぁぁぁぁぁん!!
ギターはこっぱみじんになってしまった・・・
「大丈夫ですか!?太助様!?」
「ああ・・・俺はなんともないけど・・・」
そう言って少年―太助は視線を変える。
その先には目の前の光景とギターを壊されたショックで呆然とする二人の青年・・・
太助宅
「すいません・・・ギターは直してお返しします・・・」
「はぁ・・・・」
責任をとってギターを直すことにした太助達。
それまで二人の青年は太助宅に上がることとなった。
「ギターなんてどうやって直すの?」
「羽林軍が今修理中ですわ」
「何・・・その羽林軍って・・・」
「私の星神ですわ」
「そう・・・・」
何のことかさっぱりわからないが、とりあえず返事をする二人。
そこで二人の青年にシャオがお茶を出す。
「あの・・・よろしければどうぞ・・・」
「あっ、どうも・・・・これは!!」
「おいしい!!」
「まぁ、よかったですわ」
「シャオちゃん・・・だったかな。おいしいよ、このお茶!!」
「ありがとうございます」
お茶のおいしさに驚く二人。
ちらっと前を見ると、じっと座ったままのキリュウがいる。
「キリュウちゃん・・・だっけ?君もお茶飲んだら?」
「えっ、いや、その・・・・」
「すいません、キリュウの奴、恥ずかしがり屋で・・・」
「ふーん・・・見た目はかわいいのにねぇ」
かわいいと言われ、顔が真っ赤になるキリュウ。
そこへルーアンが話しかけてきた。
「ところでなんでギターなんて持ってたのよ?」
「ああ。これでも一応バンドやってるんでね」
「バンド!?」
太助は意外だといった声を出す。
「でも今新曲のいいイメージがなくて・・・何かないかなと思ってこの町に来たんだ」
「そっかぁ・・・そういやこの町では見かけない顔だもんなぁ・・・」
「ちょっと羽林軍の様子を見てきますわ」
「あたしお腹すいたわ、なんか食べよっと」
「私は一眠りするか・・・」
3人の精霊はそれぞれの理由でその場から離れた。
太助と二人の青年だけになった。
一瞬の沈黙が流れる。
「お茶おかわりどうですか?」
「そうだね・・・じゃいただこうかな」
とりあえず場をつなぐためにお茶をすすめる太助。
それに応じた青年が新たに入れてもらったお茶を飲もうとした時・・・
ブウッ!!
驚いてお茶を吹いてしまった。なんか驚いてばっかりだが・・・
「どうしたんですか!?」
「あの・・・これ・・・は・・・」
青年が見たのはテーブルの上でお茶を飲んでくつろぐ小さな女の子だった。
「ああ、離珠ですよ。星神の一人なんです」
「さっきシャオちゃんも言ってたけど、その星神って何?わかるように教えてほしいんだけど・・・・・」
「そうですね・・・」
太助はしばし考える。
「信じられないと思いますけど・・・シャオとルーアンとキリュウは精霊なんです」
「せ・・・精霊?」
「はい・・・シャオは星神が呼び出せて、ルーアンは物に命を吹き込んで、
キリュウは物を大きくしたり小さくしたり出来るんです」
「はぁ・・・なるほど」
「世の中には不思議な人がいるんだねぇ・・・・」
案外簡単に納得する二人。
まぁあんな光景を見せられてるから当然といえば当然ではあるのだが。
「でもどうして、ここに精霊がいるんだい?」
青年の質問に太助が答える。
「親父が中国からのお土産に支天輪を送ってきて・・・」
「お父さんなにしてんの?」
「旅行中。母さんも姉貴も全員そうなんだ・・・」
「おいおい、息子ほったらかしかよ・・・」
「太助君寂しくないのかい?」
そう言うと、太助は少し顔を赤くしながらこう言った。
「大丈夫です。俺にはシャオがいますから」
「へぇ・・・・」
それを聞いた青年が何か感づいた。
「太助君・・・シャオちゃんのこと好きなんだね」
「ええ・・・まぁ・・・」
そこから太助の恋の話で青年はおおいに盛り上がった。
「それで?告白とかしたのかい?」
「いや、そんな・・・」
「ああ・・・やっぱりあるんだね。なにかこう・・・ジレンマってやつが・・・」
「ああ・・・その・・・」
顔を真っ赤にして話す太助。
そこへシャオが二階から降りてきた。
「ギター直りましたわ」
「おお、良かった良かった」
青年はほっとした様子でギターを受け取る。
たいしたものでギターは新品同然までに直っている。
「すいません・・・いろいろ迷惑かけちゃって・・・」
「いや・・・大丈夫。おかげで新曲のイメージが出来たよ」
「!本当か!!」
驚いて相棒に聞く青年。
「ありがとう、太助君、シャオちゃん。俺頑張って曲作るよ」
「それじゃあバイバーイ!」
「太助君!シャオちゃん大切にしろよぉ!」
こうして二人の青年は太助宅をあとにした。
「いい人達でしたね、太助様」
「ああ・・・・あれ?そういやあの人達の名前聞いてなかったな・・・・ま、いいか」
数日後
「太助様。この人達はこの前の・・・」
「ああっ!!本当だ!!」
なんとこの前の二人の青年がテレビに映っているのだ!!
それを見た太助が仰天した。
「そういやあの人達・・・バンドをやってるって・・・・」
テレビの中の青年は語る。
『この曲は寂しい思いを抱えた少年が一人の女の子に想いをよせる、そういうイメージで作ったんです』
『へぇ、素晴らしいですねぇ。あっ、スタンバイが出来たようです』
二人の青年はステージにあがる。
司会者が曲紹介を始める。
『それでは歌っていただきましょう!!SURFACEの新曲で「さぁ」です!どうぞ!!』
この話はフィクションです。
実在のバンド、SURFACEとはいっさい関係ありません。
後書き
実際「さぁ」はボーカルの椎名さんが月天のために作ってくれた曲です。
もちろんこれは架空のお話ですが、こうだったら素敵だなって思って書きまし
た。
ちなみに途中の台詞にSURFACEの曲名が3つ入っています。
よければ探して下さい。といってもすぐわかると思いますが。
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