Short Story
「…シャオ、たまには外で食事しないか?」
「太助様、外で…って………お花見みたいにですか?」
「い、いやっ、そうじゃなくて……その…どこかの店で食べようってことなんだけど……」
あいかわらずボケボケである。
「そういうことなら、私でよければお供しますわ。」
シャオは快く引き受けてくれた。
「それじゃあ、行くか!!」
…それから電車で揺られること数十分、太助とシャオは某レストランへとたどりついた。
「おいしいですね、太助様。」
「え?あ、ああ。」
「こんど私もこういうのをつくってみますね。」
「ははは…」
太助は、料理のことより少しずつ変わっていくシャオを嬉しく思った。
料理を食べ終わった二人は海岸を散歩しながら家路へと…そのとき!!
「あっ、動かないで!!」
二人が思わず立ち止まった足元で、一人の男性が何かを探していた。
「何かお探しているんですか?」
「その…コンタクトを落としてしまって………」
どうやらレンズを落としたらしいこの男性は、必死になって地面をはいまわっている。
「太助様、いっしょに探してあげましょう。」
「えっ!でももう終電が………」
太助が時計を見るともう十一時を過ぎていて、とても探せる時間は無かったが
星神がなんとかしてくれると思って一緒に探し始めた。
………一時間後…………
「あ!!あったぁぁぁぁぁぁ」
太助は思わず飛び上がった。
「いや〜どうもありがとうございます。助かりましたぁぁ!!」
「では太助様、そろそろ帰りましょうか………あっ!!」
突然、シャオが小さな悲鳴を上げた。
「どうしたんだ、シャオ?」
「あの………支天輪がないんです!!」
「ま、まさか無くしたのか!?」
「い…いえ、外で食べるというのが突然だったんで、忘れてきちゃったんです。
………私、守護月天失格です………」
涙を目にためながらシャオは言った。
「い、いいよ。無くしてないなら………それより電車は!」
と言い、太助は駅の方角に視線を向けた。
しかし、駅の明かりは消えていて人の気配など微塵も感じられない。
「ど、どうしよう。とりあえず今日の宿を…ぁぁ駄目だ!!そんな金持ってきてないぃぃぃぃぃ!!」
と、そのとき。
「あの〜。」
さっきの男性が声をかけてきた。
「よろしければ私のところに泊まっていきませんか?」
突然の発言に、二人は驚いた。
「でも、人の家に泊めてもらうってのは……」
「あ、いえ、そういう訳じゃないんですよ。私、ホテルを経営しているんです。それで先程のお礼に。」
(明日は日曜だから別に構わないけど……)
すこし迷って、太助はシャオに聞いた。
「シャオは……どうする?」
「こんなことになったのは、私のせいです。だから……」
「よし、わかった。………じゃあ、よろしくお願いします。」
………そしてホテル到着………
「おい!!こんな部屋しかなかったのか!!」
さっきの男性が怒鳴り上げた。
「す、すみません。何分夜中でしたので……」
と、しどろもどろにフロントが答える。
「こんな部屋ですみませんが、どうぞおくつろぎください。」
そう言うとさっきの男性は部屋から出ていった。
「しっかしあの人がホテルの支配人だったとはなぁ。なあ、シャオ。」
そう言って太助はシャオを見たが、シャオは元気がなさそうだ。
「………シャオ?」
「太助様ごめんなさい。私のせいで……」
「…シャオだけのせいじゃないよ。それにこんなに立派な所に泊まれたし………
さっ、今日はもう遅いから寝よう………!!」
太助は心臓が止まりそうになった。ベッドが一つしかなかったからだ。
「お、俺は下で寝るから、シャオはべッドで寝てくれ。」
「そんなことはできません。太助様がベッドで寝てくたさい!!」
「うーん………じゃあ一緒にベッドで寝るってのは?」
「えっ。(ポッ)」
(…あっ!!)
太助は言ってしまってから後悔した。しかし…
「……太助様がよろしいのなら、私は構いませんが……」
そう言いつつ、シャオはベッドに入っていく。
予想外の答えに驚きながら、太助もベッドに入った。
……しかし一時間後……
(あぁぁぁぁぁ!!眠れない眠れない眠れない!!同じ家に住んでるだけでも意識してたっていうのに、
ひ、一つのベッドに寝るなんて………そういやシャオはもう寝たのかな?)
太助はちらっとシャオの方を見た。そこには………
(わーーーーーーー!!なんで俺の方向いて寝てるんだ!)
……翌日……
「……朝か…のわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
太助は驚いてベッドから落ちた。
「ん………あ、太助様、おはようございます。」
「いててててて……あーびっくりした。」
(だって起きたらいきなりシャオの顔が目の前にあるんだもんなぁ)
「あっ!! 太助様、お顔は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、ははは……… 」
その頃、太助の家ではある会合が行われていた。
「………では、もう一度確認しよう。」
切り出したのはたかしだった。
「俺たちがこの家を訪れたのは昨日の夜七時ぐらいだったから、太助とシャオちゃんはそれ以前に
出かけたと言っていいだろう。」
「でも何のためにですか野村先輩?」
愛原花織の唐突の質問に考え込むたかし。
「……昨日はキッチンにたー様たちの食器がなかったから、ひょっとして外食に行ったとか。
おにーさんはどうお考えになってるのかしら?」
「私ですか?私も汝昴さんの意見に賛成ですが、こんなに遅くなるとは
……何かトラブルに巻き込まれた可能性もありますね。」
「でもよっ、それならシャオちゃんの持ってる支天輪でなんとかなるんじゃないのか?」
「………その支天輪が、ここにあるのよ。」
そう言って汝昴は支天輪を取り出した。
「じゃあ、太助たちは今頃…………」
「ただいまぁ!」
四人は玄関へと駆け出した。
「………あれ、なんでみんなここにいるんだ?」
きょとんとする太助とシャオ。
「お、おまえらこそ何処行ってたんだ!!」
「え、ど、何処って………外食に………」
「じゃあなんで朝帰りなんだよ!!」
「え、そ……それは…」
「私がいけないんです。私が支天輪を忘れたばかりに……」
「でも、終電にも間に合わないなんて、何やってたんだ太助?」
「あ、それは男の人がコンタクトを探してたから、俺たちも一緒にさがしてたんだ。」
「まあそれはいいとして、それで朝になるまでそとをほっつき歩いてたのか?」
「いや、その人がホテルの支配人だったんだ。それでそのホテルに………」
「と、泊まったのか?まさか、ダブルベッド!?」
「ま、まさか。一人用の部屋を二つだよ。なあ、シャオ。」
「は、はい。………あ!そういえば、朝ベッドから落ちてできたケガ、大丈夫ですか?」
「あ………シャオ……」
「え?…あっ!!(ボッ)」
「シャオちゃん………」
「シ、シャオさん?」
「………七梨先輩…」
「た、たー様?」
…………………………………………………………………………………………………………………
「たぁすぅけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「あ、貴方という人は…」
「先輩のえっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「たー様!!!!!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ははは……七梨んとこの家はいつもやかましいな………」
END
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注意:このショートストーリーはシャオりんぐのほかに夢と現実(作者:YONEYAさん)にも同じ物が掲載されています。