小説「まもって守護月天!」(知教空天楊明推参!)


≪第七話≫
『新たなる楊明の能力』

「うわー、おいしい!七梨先輩って毎朝こんなにおいしいものを食べてるんですね。」
「花織って前に食べさせてもらったこと有るんでしょ。いいなー・・・。」
「そ、そうなのよ。やっぱりシャオ先輩って料理が上手だから・・・。」
「花織ちゃん、ひょっとして悔しかったりする?今度私が料理教えてあげるよ。」
「ほんと?楊ちゃん、ぜひお願いするね。」
「楊ちゃん、あたし達にも教えてよー。」
「そうそう、花織だけなんてずるいよ。」
「分かったわ。今度四人でお料理教室でもやりましょう。」
ただいま七梨家は朝食の真っ最中。朝から元気なのは、
ヨウメイ、花織、熱美、ゆかりんの仲良し四人組。
ルーアンはいつも通りがつがつと食べ、
太助、那奈、シャオ、キリュウはゆっくりと自分のペースで食べている。
「にぎやかですわね、太助様。」
「ほんと。昨日言った通り、まさか本当に九人になるなんて。」
そう、昨日の太助の冗談が見事当たったのである。
驚き気味の太助に、那奈が真剣そうな顔で言った。
「太助、おまえってひょっとして未来が詠めるんじゃないのか?
だったら明日の朝も詠んでみてくれよ。何人だ?」
「ちょ、ちょっと待ってよ那奈姉。今回はたまたま当たっただけだって。」
迫ってくる那奈に、太助が力いっぱい否定する。
すると、那奈はすぐに興味を無くしたかのように食事に戻った。
「使えないなあ。あたしの弟だったらそれぐらいはやってのけろよ。」
「そんな無茶な・・・。」
那奈の言葉に、キリュウが苦笑いを浮かべる。
そして表情を元に戻して太助に言った。
「それより主殿、今日の試練は特別厳しくなるぞ。心してかかられよ。」
「へ、そうなの?一体何するんだ?」
太助の素朴な疑問に、ヨウメイが太助のほうを向く。
「まだ秘密です。とりあえず私も一緒にやるという事だけ言っておきますね。」
にこやかに告げるヨウメイ。太助は“へえ”と感心していた。
その傍らでシャオが、
「まあ、お二人で試練をなさるなんて、よほど仲がよくなられたんですね。
ほんと良かったですわ。私にできることがあったらなんでもおっしゃってくださいね。」
と、ニコニコ顔で二人に言う。その言葉に、喜んでうなずく二人であった。
「ねえ楊ちゃん、結局試練するんだね。」
「そうよ、熱美ちゃん。もうキリュウさんといがみあってなんかいられなくなったから。
なにかあったら、お手伝いお願いね。」
ヨウメイの言葉に、ゆかりんが胸を張って答えた。
「もっちろん、任せといてよ。ね、花織。」
「う、うん・・・。」
ゆかりんに言われて花織もうなずく。
花織としてはなんとなく自分の目標と違っている気がしたものの、
やはり親友は大事だと考え、ヨウメイの手伝いをすることに気持ちを切り替えた。
「へえ、みんなやる気だな。ヨウメイ、あたしにも遠慮無く言ってくれよ。」
「ありがとうございます、那奈さん。」
朝食の間に、すっかり試練をやる気になった面々。ただ一人・・・。
「シャオリン、おかわり!」
と、ルーアンだけは朝食を食べるのに夢中であった。
「ルーアン殿、話を聞いていたのか?ルーアン殿にも手伝って・・・」
「いやよ!」
キリュウが言い切る前に、ルーアンは突っ返した。
「だって、あたしは試練に疲れたたー様を癒してあげなきゃいけないんだもの。
試練を与える手伝いなんてしないからね。」
そう言うと、シャオが入れたお代わりを受け取って、再びがつがつと食べ出した。
ルーアンの様子を見てヨウメイが一言。
「昨日あれだけ食べたのに・・・。やっぱり食べ物を尊重する人ですね。」
その言葉にがたっとこけそうになる太助達(シャオを除く)。
体制を立て直して花織がそっとヨウメイに告げた。
「そんなわけ無いでしょ。あれは食い意地がはってるって言うのよ。」
「でも、食べられるときに食べておくのは重要よ。うーん、ルーアンさんてすごいなあ。」
感心するヨウメイに呆れ顔になるほかの面々。シャオは相変わらずの笑顔で、その光景を見ていた。

朝食が終わり、七梨家を出る太助達。もちろん全部で九人である。
「・・・なんで那奈姉まで来るんだ?」
「太助ぇ、弟の成長する姿を見たいっていうのは、姉の願望だぞ。
それをおまえは拒むっていうのか?なんて薄情なんだ・・・。」
よよよ、と崩れるまねをする那奈。そんな那奈を見て、太助はため息をつく。
「分かったよ。よく考えて見りゃおとついも一緒に学校まで来たしな。」
すると、那奈は急に元気になったように立ち上がった。
「よっし、決まり。さあみんな、学校へゴー!」
『おーっ!!』
那奈の掛け声に皆が反応したかのように手を振りかざす。
そして皆は歩き出した。太助は再びため息をついて、その後に付いて行った。
お喋りをしながら歩き、あっという間に学校へ到着。
ルーアンは職員室へ、ヨウメイ、花織、熱美、ゆかりんの四人は一年三組へ。
そのほかのメンバーは二年一組へと向かった。
教室へ向かう途中で、キリュウに質問する太助。
「なあ、試練て一体何をするんだ?どうも気になってさ。」
「本格的な試練は昼休・・・じゃなくて放課後になるだろう。
休み時間の間は、今までのように私だけで試練を行う。」
「へえ、そうなんだ。」
キリュウのきちんとした答えに、納得したようにうなずく太助。
最後の、“今までのように”という言葉で安心したのだろう。
そしていつもの顔に戻った。
「なあシャオ。シャオは太助を鍛えるために何かするつもりなのか?」
那奈が小声で尋ねる。シャオは気合ばっちりといった顔で答えた。
「ええ、そうですわ。太助様への試練のお手伝いをするんです。」
すると、那奈が更に顔を近づけて小声で言う。
「シャオ、試練を与えるメンバーはあたしは十分だと思うんだ。
だから、シャオは太助を元気付ける役割とかしたらどうかな?」
「那奈さん・・・。でも、私は・・・。」
「それに、そっちのほうが絶対に太助は喜ぶ。
姉のあたしが言うんだから間違い無いって。な、シャオ。そうしなって。」
そこでシャオの顔つきが変わった。太助が喜ぶという言葉に反応したようだ。
「太助様が喜ぶ・・・。わかりましたわ、那奈さん。
私、太助様を懸命に元気付けいたします。」
「そうそう、頼んだよ。」
そうこうしているうちに教室に着いた。
がラットドアを開け、太助は元気いっぱいの声で言った。
「みんな、おはよう!」
いきなりの声に、一斉に太助のほうを見る生徒達。
そこへ、たかしが近づいて行った。
「おはよう、太助。どうしたんだ、朝っぱらから。気合ばっちりな顔して。」
「今日は試練で大変なんだ。だから今のうちに気合を入れておかないと、と思ってさ。」
なんだか目を輝かせている太助に、たかしは圧倒されていた。
立ち尽くしている太助達を横目で見ながら、翔子が教室に入ってきた。
「おはよう・・・なんかあったのか?」
「翔子さん、おはようございます。今日は太助様は頑張って試練をするんですって。」
「そういう事。ちなみにシャオは太助を癒す係。翔子もなんか手伝ってよ。」
那奈に言われ、ぴたっと立ち止まる翔子。
しばらく考え込んでいたかと思うと、何かひらめいたようにうなずいた。
「じゃああたしはシャオの護衛役でもするか。那奈ねぇもそれをやらない?」
「護衛役?・・・あ、なるほどな。あたしもそれやるよ。
ついでにシャオから太助への導き役も。」
「導き役・・・。さっすが那奈ねぇだな。よし、頑張ろう!シャオも頼むぜ。」
「は、はいっ。」
なんだかよくわからないといった顔のシャオだったが、
翔子と那奈に促されて、三人でがっちりと握手をした。
教室の後ろでそんなやりとりが交わされている途中、
前の扉がガラッと開き、ルーアンと乎一郎が入ってきた。二人で何やら言い合っている。
「だから、言ったでしょう。ヨウメイはもう授業しないんだって。」
「でもルーアン先生、たまにはヨウメイちゃんの授業を聞いてみて、
いいところを頂戴するってのは大事ですよ。ぜひ頼んでみては・・・。」
「遠藤君!あたしの授業に何か欠点があるって言うの!?」
「そうは言ってませんよ。ただ、いつまたあんな出来事が起こるか分からない以上、
対策ぐらいは立てておいたほうがいいんじゃないかと思うんです。」
「なんですって!?私がまた追い出されるって言うの!?」
どうやら、昨日のような事件が再発したときのことについてのようだ。
乎一郎としては、なんとしてでもルーアンに先生を退いて欲しくない。
しかし、ヨウメイの件でその可能性はかなり低いということが判明した。
今回はたまたまヨウメイが退いたから良かったものの、
いつまたルーアンの代わりを申し出てくる人物が現れるか分からない。
そこで、ヨウメイの授業のいいところをルーアンに勉強して欲しいと願っていたのだが・・・。
「とにかく!あたしは誰が来ようと蹴散らしてやるんだから!
そんなのは余計なお世話よ、遠藤君!!」
「る、ルーアン先生・・・。」
見ての通り、ルーアンはそんな乎一郎の気持ちなど知るよしも無い。
自分が他の奴に負けるはずは無い。ヨウメイのときは相手が悪かったのだと思っているのだ。
ルーアンのつっぱねた態度にあきらめたのか、しょんぼりとして乎一郎は後ろの方にやってきた。
「乎一郎、心配すんなって。ルーアン先生なら大丈夫だよ。」
「たかしくん・・・。でも、僕は気が気じゃないよ。
ルーアン先生にはぜひしっかりと先生を続けてもらいたいのに・・・。」
落ち込む乎一郎に、太助は肩に手をぽんと乗せた。
「平気平気。もしそんな事になっても、俺達全員で訴えれば大丈夫だって。」
「でも、ヨウメイちゃんのときはみんなヨウメイちゃんの味方だったじゃないか。
次ぎもそうなったらどうするんだよ。」
その言葉に太助は手を引いた。確かに全員がルーアン側に付いたまま残るという事は考えにくい。
これには、太助達は腕組をして考え込んでしまった。
しかし、そんな太助達を横目で見ながら、あっさりと言ってのけた人物が居た。
それはキリュウである。
「そんなに考え込むことではあるまい。いざとなったらヨウメイ殿に頼めば良いのだからな。
何も心配することなど無いぞ、遠藤殿。」
そして入り口とは反対側の窓のほうへ歩いて行く。乎一郎はばっと顔をあげて言った。
「ちょっと待ってよ、ヨウメイちゃんが先生になったって、結果は同じじゃないか。」
するとキリュウは、なんでもないことのように答えた。
「だから、一度ヨウメイ殿に代わって、
そしてヨウメイ殿からルーアン殿へと代われば良いという事だ。
まあ、そんな面倒な事をせずとも、ヨウメイ殿の説得で方が付くと思うがな。」
キリュウの説明にぽかんとする太助達。他の生徒達もそんな様子でキリュウを見ている。
「はいはい、みんな席に座って。授業始めるわよ。」
しかし動くものは誰も居ない。ルーアンの呼びかけにも、突っ立ったままである。
そんな生徒達に対して、キリュウは冷静に告げた。
「ルーアン殿の授業が始まるぞ。早く席に座られよ。」
キリュウの声により、ようやく生徒達は動き始めた。ところどころでざわつきながら。
「じゃあ翔子、シャオ、それに太助。またな。」
と、教室を出て行く那奈。太助達はそれに挨拶し、それぞれの席に向かった。
一番キリュウに近い席に座った翔子は小声で訊いてみる。
「なあ、昨日とはえらい違いじゃないか?ヨウメイと本当に仲直りしたんだな?」
「まあそんなところだ。・・・どうして先ほどはみんな固まっていたのだろう。」
キリュウの何気ない疑問に、翔子はそれとなく答えてやる。
「だってさ、あのセリフは間違い無くヨウメイを信じてるって感じだったもんな。
あれだけいがみ合っていた奴の口から出る言葉じゃないよ。」
「そういうものなのか?まあいい、ルーアン殿の授業をゆっくりと聞くとしよう。」
そして開始される授業。チャイムとはほとんど関係無しに始まるのは、
初日のヨウメイの授業の影響かもしれない・・・。

同じころ、花織のクラスでは・・・、
「・・・という事で、今日から新しく編入するかたちとなりました、ヨウメイさんです。
皆さんもう知ってますよね。仲良くしてあげてください。それではヨウメイさん。」
と、ヨウメイの紹介が行われていた。
先生に言われて、教壇の前のほうへ出るヨウメイ。
「はい、どうもありがとうございました先生。
えー、これから皆さんと一緒に勉強するヨウメイです。
最初に言っときますけど、あたしの能力を使って楽をしようなんてことは考えないように。
この前やったのは、今後一切皆さんには使用しないことにします。
まあ、そんなことは置いといて、楽しくやりましょう。ね?」
ヨウメイの笑顔に、皆が苦笑いをしながら、そして明るい声とともに応える。
そんなみんなに、ますますにっこりするヨウメイであった。
「良かった、第一印象はいいみたいね。」
「花織、もうみんな会ってるでしょ。それより万知なんたらってのはもう使わないんだ。
もったいないなあ。あれを使うとつまんない授業も一瞬で終わっちゃうのに。」
「ゆかりん・・・。まあいいじゃないの。楊ちゃんは楽しくやろうって言ってるんだし。
普通の授業だってつまらなくなくなるよ、きっと。」
「そう、そうだよね。楊ちゃんと一緒だと楽しいに決まってるよね!」
「そういうこと。まずは楽しく。・・・楊ちゃーん!いい挨拶だったよー!!」
大声で叫ぶ花織に、手を軽く振って応えるヨウメイ。
その花織の影響もあったのだろうか。
ヨウメイはこのクラスに自然になじめるようになった。
ヨウメイが自分の席に座り、先生が教壇に立つ。
「では、授業を始めます。教科書の・・・」
「せんせーい!その教科書はヨウメイちゃんによって、すでに終わってます!」
生徒の一人が手を挙げて言った。他の生徒達は、それに合わせたかのように頷く。
「そ、そうですか。では・・・自習です。」
「おおー、自習だって!これもヨウメイちゃんのおかげだぜー!!」
「さっすがヨウメイちゃん!!」
すごすごと教壇を下りる先生をよそに、クラスの皆が騒ぎ出す。
普通の先生はルーアンのようになんでも教えているわけではないので、
一つの教科がすべて終わっているとなると、する事が無くなってしまうわけである。
ヨウメイは自習となる授業にふうとため息をつきながらも、
やがて納得したように皆と話をしだした。

再び場所を戻して太助のクラス。ここでは自習など無い。
が、いつものペースでルーアンの授業が行われていた。つまり・・・、
「はーい野村君、ここ読んでぇ。」
「えーと、七梨太助の政治によって、多くの人々は救われることになる。
民衆は彼を、やがて世界を救う人だと思い始め・・・」
という調子の、太助がなんたらかんたらという授業である。
後ろの方に座っている翔子が、キリュウに小声で話し掛ける。
「ルーアン先生も飽きないよな。毎回こんな調子の授業なんだから。」
「・・・翔子殿、私は前言撤回をしようと思う。
こんな授業ではヨウメイ殿が説得しても無理なのでは。」
「なんだ、弱気な奴だなあ。でもさ、
ヨウメイがルーアン先生の授業を見てるときは、真剣そのものだったんだぜ。
なんか感心してたように頷いてたしさ。」
昨日の事を翔子は言っているのだ。よく見ているところはさすがである。
「そうなのか?ではすごい授業なのだろうな。私にはさっぱり分からぬが・・・。」
「はは、やっぱりヨウメイを信じてるって感じだな。ちなみにあたしは・・・」
「陽天心召来!」
翔子の言葉の途中で、ルーアンの声が響いた。
それと同時に、黒板消し二つが後ろのほうへ飛んで行く。
「「ぶっ!!」」
その二つは翔子とキリュウの顔面に命中したようだ。その衝撃で倒れる二人。
黒天筒を回す手を止め、ルーアンが冷ややかに言う。
「あんたたち、あたしの華麗なる授業中に私語をするなんてとんでもないわねえ。
二人とも、廊下に立ってらっしゃい!陽天心召来!!」
ルーアンが再び黒天筒を回す。すると、命を吹き込まれた椅子と机が、
倒れていた二人を廊下へと無理やり運び出した。
「さてと、皆さんも私語は慎むように!じゃあ野村君、続きを。」
「は、はい。やがて、世界の半分を治めるようになった七梨太助は・・・。」
そして授業が再開されたころ、翔子とキリュウは、情けない姿で廊下に立たされていた。
空中に浮かんだ陽天心椅子に両手を持ち上げられているような格好である。
「たくう、ちょっとくらいいいじゃんか。こんなところ誰かに見られたら・・・。」
「まったくだ。ルーアン殿も度が過ぎ・・・あれは!」
言いかけてキリュウが廊下のある方向を指差す。
向こうから歩いてくるのは、ヨウメイ達四人であった。
四人で何やら楽しそうにおしゃべりしている。
幸い、この二人には気付いていない。
「頼む、あの曲がり角で曲がってくれ・・・!!」
「こんなところを見られては何を言われるか分かったものではない!!」
必死に祈る二人。
そんな思いが通じたのか、四人は二人とは違う方向へと向きを変えた。
そこでほっと胸をなでおろす翔子とキリュウ。
・・・と思ったら、ヨウメイが二人を見つけたようだ。
少し笑ってこちらへ駆け出してくる。
そのヨウメイにつられて、他の三人もやってきた。
「あちゃー、見つかった。」
翔子が気まずい顔になってうつむく。キリュウも一緒にうつむいた。
「お二人さん何をしてらっしゃるんですか?何かの授業ですか?」
子供っぽい笑顔を浮かべて尋ねるヨウメイ。
翔子は、(そんなわけ無いだろ)と心の中で思いながら黙っていた。
「わかったー!ルーアン先生に怒られて立たされてるんですね!
二人とも何やったんですか?」
花織の曇りの一切無い明るい声に、キリュウはゆっくりと顔を上げた。
「大した事ではない。少し話をしていただけだ。」
「話ですか?一体なんの話を?」
尋ねる熱美に、今度は翔子が顔を上げた。
「なんでもない雑談だよ。それで私語は慎めとか言って追い出されたんだ。」
そこで四人は顔を見合わせると、くすくすと笑い出した。
その様子に、やれやれとため息をつきながら再びうつむくキリュウと翔子。
何分かそうしていると、ヨウメイがにこりとして二人に言った。
「授業中に私語なんて怒られて当たり前ですよ。
しかもあのルーアンさんの授業で。ほんと学習能力が無いんですね。」
その言葉にきっと顔を上げる二人。まず翔子が怒鳴る。
「なんだよその言いぐさは!
大体あんな授業で私語無しに受けろってのは無理があるぞ!」
しかしヨウメイは、
「あんな授業だからこそ私語無しに受けるべきなんですよ。
他じゃあ絶対に受けられませんよ。」
と、さらっと返した。さもそれが当然の事のように。
次に怒鳴ったのはキリュウである。
「学習能力とはどういう意味だ!
大体そう言うことを学習する時間など無かったぞ!」
するとヨウメイは、
「昨日の授業で・・・ああ、キリュウさんは居ないんでしたね。
それじゃあしょうがないですか。
まあ、寝坊したのがいけないんだし、自業自得ですよ。」
と、あっさり返した。その言葉にキリュウは黙り込む。
「ねえ楊ちゃん。いつまでもここに居てもしょうがないし、
別のところ行きましょう。」
なんとなく耐えきれなくなったゆかりんが、立ち去る案を申し出た。
それには三人とも頷き、挨拶も無しにそこから離れて行く。
とその前に、翔子が大声で呼びとめた。
「ちょっと待てよおまえら。今は授業中だろ?
なんでこんなところに居るんだよ。」
四人がぴたっと足を止める。そして花織がくるっと後ろを向いて答えた。
「楊ちゃんのおかげですよ。以前楊ちゃんが授業した科目と同じだったもんで、
自習になったんです。でも、教室に居るだけじゃつまんなくて、
こうして抜け出して来たって訳です。」
呆れ顔になる二人。
キリュウはため息を一つついたかと思うと、ヨウメイに向かって言った。
「ヨウメイ殿、昼休みの件は忘れておらぬだろうな。」
「なんですか、やぶから棒に。大丈夫ですよ、ちゃんと覚えてますから。
それじゃあお二人とも、それも試練か何かだと思って頑張ってくださいね。」
ヨウメイの言葉を最後に、四人はそこを去っていった。
姿が見えなくなったところで、翔子が尋ねる。
「なあキリュウ、昼休みの件ってなんだ?」
「それは言えぬ。ヨウメイ殿との秘密だからな。
それよりこうやって立たされるのも試練か。ならば耐えねばな・・・。」
頑張る表情を見せるキリュウに、翔子はすっかりやる気をなくすのであった。
それでも立ちつづけることに変わりは無い。
そうしたままチャイムが鳴り、休み時間となった。

教室内。ぐったりとしたように席に座っている翔子。
ちなみにキリュウも、他の生徒達に席を空けてもらって座っている。
「なんだ、試練はしないのか、キリュウ?」
「・・・また次の休み時間にでも。」
そう答えると、机に突っ伏してしまう。
さすがに太助は引き下がるしかなかった。
「まったく、ルーアン先生が廊下に立たせるから。
せっかく太助がやる気に成ってるのに、そういう事をしちゃいけませんよ。」
「私語をした二人が悪いのよ。あたしの授業中に・・・。」
「そうですよね。たかしくん、ルーアン先生は正しいことをしたんだから。
山野辺さんやキリュウさんに文句を言うべきだよ。」
やいのやいのと騒ぐ三人。それを横目に、太助はシャオの傍へ行った。
「なあシャオ、姉貴になんて言われたんだ?」
「太助様を元気付けろっていわれたんです。試練に疲れた太助様を・・・。」
やっぱりか、と頭をかきながら考え込む太助。
それでも、シャオに元気付けられるのなら試練も頑張れる。
そう思い、シャオの方を改めて向いて言った。
「ありがとう、シャオ。でも、俺はなるべくシャオに頼らないように頑張るから。
そんなに神経質に成らなくていいから。シャオはいつも通りで居てくれよ、な?」
「・・・はい。あの、太助様。」
「うん?」
「ヨウメイさんが行う試練てどんなものなんでしょうね?」
「さあ。いろいろするんじゃない?
たとえば洪水に押し流されて・・・って待てよ!!」
シャオに言われてあれこれと考え出した太助だったが、途中で突然叫んだ。
「まさか・・・死んじゃったりしないよな?」
「そんな!!太助様・・・。」
「だ、大丈夫だよな、ははは・・・。」
シャオの不安を解消するかのように笑ってごまかす太助。
しかし、その胸中は決して穏やかではなかった。
昨日を思い出す限り、ヨウメイは死人を生き返らせる事ができるらしい。
くわえて、出雲に行おうとしていた試練。
それは普通の人間なら死んでもおかしくないようなものもあった。
となると、とんでもない試練が待ちうけているのは目に見えている。
「やっぱり不安だ―!!」
「何が不安なんですか?主様。」
「へ?よ、ヨウメイ!!」
「まあ、ヨウメイさん。いらっしゃい。」
「こんにちは、シャオリンさん。ちょっと予定を変えてやってきました。」
太助が考え事をしている間に、教室へとやってきたヨウメイ。
いつも通りのニコニコ顔を浮かべている。
そんなヨウメイに、恐る恐る太助は訊いてみた。
「あ、あの、ヨウメイ。予定って・・・?」
「本来なら、放課後に試練を開始する予定でした。
実は、授業中に教室を抜け出して、
キリュウさんが廊下に立たされている姿を発見したんです。
別れ際に“試練ですよ”なんて私が言っちゃったもんだから、
キリュウさん頑張りすぎちゃってへばってるんじゃないかと思って。
だからこうして、キリュウさんの代わりに試練を与えに来たって訳です。」
「は、はあ、そうなんだ。」
ヨウメイのその説明を聞いたのか、ルーアンが遠くから呼ぶ。
「ねえヨウメイ。他にも何か言ったんじゃないの?
大体廊下に立ってるだけであんなに疲れるわけ無いでしょ。」
そして机に突っ伏している翔子とキリュウを指差した。
そんな二人を見て、ヨウメイは首を横に振る。
「いいえ、特に何も。たんに体力不足なだけじゃないんですか?
きょうびの若者はだらしないそうですし。
キリュウさんの場合は、無駄な力を入れすぎたんでしょうね。」
ルーアンに聞こえるように答えるのだから、
当然翔子やキリュウにもそれは聞こえた。
しかし、いちいち体を起こして反応する気力も無いようで、
相変わらず二人とも机に突っ伏していた。
「さてと、寝ているふざけた人はほっといて、試練を始めましょうか、主様。」
「ちょ、ちょっと待て、ヨウメイ。」
いきなり統天書をめくり出すヨウメイに、太助が手を上げてストップをかける。
ヨウメイは不思議そうな顔で太助を見上げた。
「どうしたんですか、主様。
まさかキリュウさんに影響されて、主様までやる気を無くしたんじゃ・・・。」
“口悪いなあ”と思いつつも、
太助は先ほどの不安を頭に浮かべながら口を開いた。
「なあヨウメイ。ヨウメイの行う試練で、俺は死んじゃったりしないよな?」
その言葉に、しばらくぽかんとするヨウメイ。
あまりにもその反応が意外だったのか、
太助もシャオもヨウメイの顔を覗きこむ。
しばらくそうした後、ヨウメイが笑い出した。
「あははは、なんなんですかそれ。
いやですねえ、主様の命を奪ったりするわけ無いじゃないですか。
ちゃんと緻密に計算して・・・ってまあそんなことはどうでもいいですね。
一体どこからそんなくだらない不安が?」
「くだらないってなんだよ。
昨日の宮内出雲へやろうとしてた試練は、明らかに死んじゃうじゃないか。
だから不安になったんだよ。」
「それにヨウメイさん、
キリュウさんが凍りついたときに蘇生の術を使ったじゃないですか。
だから太助様がもし死んじゃっても、生き返らせれば良いっていう考えが・・・。」
言葉を返す二人に、統天書を閉じて、ふむ、と考え込むヨウメイ。
そのとき、休み時間を告げるチャイムが鳴り響いた。
「あらら、もう休み時間終わっちゃった。次はもう少し早く・・・そうだ、ヨウメイ。
あんたせっかく居るんだから授業していってよ。」
ルーアンが再び後ろを向いて言う。
それに対して、あきれたようにヨウメイは答えた。
「何言ってんですか。このクラスはルーアンさんの担当でしょう?
それに私はもう自分のクラスへ帰らないと。」
「けちねえ。そんなこといわずにちょっとくらい・・・」
「ルーアン先生!」
おねだりするルーアンをさえぎって、乎一郎が強く言った。
「僕はルーアン先生の授業が聞きたいんです!
だからルーアン先生が授業してください!」
ルーアンは最初はびくっとなってみていたのだが、
やがてため息をついて立ちあがった。
「まあ、生徒から慕われるのもあたしの人望が高いってやつかしら。
というわけでヨウメイ、もう帰っていいわよ。」
そこでなんとなく不思議そうな顔をしたヨウメイだったが、
にこりとしてこう言った。
「それでは主様、シャオリンさん、ごきげんよう。
キリュウさんがへばっているようなら、次も来ますからね。」
「あ、ああ。」
そしてヨウメイは笑顔のまま教室を出ていく。
それを見送って、太助達は席に着いた。

しかし、翔子とキリュウは相変わらず机に突っ伏していた。
「ちょっと、そこの二人をちゃんと起こしてよ。
授業をちゃんと聞く気が無い奴に居て欲しくないわ。」
ルーアンが後ろの方に向かって怒鳴る。
しばらく経ってもその二人に反応が無かったので、
近くに居た女生徒達が二人を揺さぶりに行った。
「山野辺さん、授業始まるよ。」
「わ、わかった。また陽天心で立たされちゃたまんないからな・・・。」
そう言って、翔子はあっさりと起きあがった。
「キリュウさん、あたしが席に座れないんだけど。」
「そ、そうか。だがすまぬな、これも試練だと思って・・・」
キリュウがそう言った瞬間、開いていた窓から大きな石がすっ飛んできた。
偶然なのか、それがキリュウを直撃し、キリュウ自身を吹っ飛ばす。
「うわあっ!」
と叫んだかと思うと、キリュウは教室の端で気絶してしまった。
一瞬何が起こったのか分からずに戸惑う生徒たち。
やがて太助ががたっと立ちあがって言った。
「ルーアン!いくらなんでもやりすぎだぞ!」
「たー様、今のあたしじゃないわよ!誰か他の人が・・・」
「何言ってんだ!ルーアン以外に誰ができるって言うんだよ!」
「そんな・・・。だってほんとにあたしじゃないのに・・・。」
太助の声をきっかけに、ルーアンをじろりとにらむ生徒たち。
その迫力に圧倒されたのか、ルーアンの目が涙目になってきた。
と、その時、
「すいませーん。さっきの飛び石は私なんです。」
という声が教室中に響いた。声がした方向、窓の方を一斉に見る生徒たち。
そこに居たのは、空中に浮かんだじゅうたんのようなもの乗っかっている、
花織、熱美、ゆかりん、そしてヨウメイであった。
先ほどの声の主はヨウメイのようだ。
「ヨウメイ!あんた達、授業はどうしたのよ!」
一番に窓のそばによって、ルーアンが身を乗り出して尋ねる。
「実はこの時間もまた楊ちゃんが教え終わっちゃってたもんで、
こうして四人で抜け出してきたわけなんです。」
「楊ちゃんてやっぱり空を飛ぶものを持ってたんですね。すごいよ、楊ちゃん。」
「それで、楊ちゃんが言うには、
キリュウさんのことが気になってこうして来たんだそうです。」
ルーアンの問いに、花織、熱美、ゆかりんが順番に答えた。
そして最後に、ヨウメイが笑いながら言う。
「キリュウさんがあのまま他の人の席を占領しようものなら、
私が懲らしめてあげようと思って。案の定その通りになっちゃいましたね。
まったく、キリュウさんにもあきれたもんです。」
そしてヨウメイはじゅうたんからぴょんと窓に飛び移り、
キリュウの傍へと寄った。
しばらくキリュウの様子を見ていたかと思うと、
ぱらぱらと統天書をめくり出す。
「さてと・・・。かのものを幽閉せし力、封印する力、今ここに集わん・・・。
・・・万象封鎖!」
ヨウメイがそう叫んだかと思うと、統天書がぱあっと光り始めた。
それと同時に、キリュウの体が浮き上がり、
なんと統天書に吸い込まれて行く。
すべての生徒達は、驚きの表情で見つめていた。
やがてキリュウの姿が見えなくなると、
ヨウメイはパタンと統天書を閉じる。
「ふう、やっぱり精霊は疲れるな。しょうがないけど。
みなさん、キリュウさんは保健室にでも寝かせてきますね。
それじゃあ、お騒がせしました。」
そして窓の方へと駆け寄り、再びじゅうたんに乗ろうとする。
教室から出て行く前に、太助が呼びとめた。
「ヨウメイ!今のはいったいなんだ?」
「ルーアンさんが説明してくれますよ。
キリュウさんが居なくても、試練はしっかりやりますからね。」
それだけ言うと、ヨウメイは窓からジャンプしてじゅうたんに飛び乗った。
「それでは皆さん、また次の休み時間にお会いしましょう。」
「七梨先輩、それじゃあ。」
挨拶交じりにヨウメイ達は手を振り、そして別の場所へと飛んでいった。
生徒達はそれを見送った後、しばらく呆然としている。
ルーアンだけは違ったようで、つかつかと教壇に上がり、
手をたたいて皆に呼びかけた。
「はいはい、それじゃ授業始めるわよ。みんな教科書を・・・」
「ルーアン先生!さっきのヨウメイちゃんの能力について教えてください!」
真っ先に手を上げたのはたかしだ。
それに続いて、教室のあちらこちらから同じ希望の声が出てくる。
ルーアンは再び手をたたいて皆を静め、観念したように話し始めた。
「あれは万象封鎖といって、生き物達を本の中に閉じ込める技なの。」
「閉じ込める!?キリュウはどうなるんだよ!」
疲れも吹っ飛んだのか、翔子が立ちあがって叫んだ。
慌てて、周りの生徒達が翔子をなだめる。ルーアンは続けた。
「大丈夫よ、ちゃんと取り出せることができるんだから。
つまり、別の部屋へと隔離するって訳ね。」
「それで、それってどんな意味があるんですか?」
今度は太助が質問した。ルーアンは一呼吸置いて、それに答えた。
「安全な部屋に入れるって事かしらね。
そうすれば、外界の一切の危険なものから身を守れるの。
つまりヨウメイは、そうやって主を守っても来たのよ。
はい、もう後は自習にするわ。適当に過ごして頂戴。」
ルーアンが教壇を退く。そこでざわつく生徒達。
太助の傍にやってきたルーアンに、シャオが不安げな顔で尋ねた。
「あの、ルーアンさん。もしかして・・・。」
「シャオリン、残念だけどそういう事よ。
身体的にはあんたよりも主様を守る能力を持っている、って訳。
まったく、誰があんな子の存在を認めたのかしらねえ・・・。」
更に教室中が騒がしくなった。
無理も無い。守護月天よりも強力な守護者など矛盾もいいところだ。
太助は立ちあがって、慌ててシャオに向かって言った。
「シャオ、気にするなって。俺は身体的には全然平和なんだ。
シャオは言ったじゃないか。俺を孤独やさびしさから守るって。
だから、その・・・。」
太助の懸命な姿に、シャオは太助の手を取って答えた。
「ありがとうございます、太助様。
こんな私ですけど、改めてよろしくお願いします。」
「シャオ・・・。こちらこそ。」
いつの間に傍にやってきたのか、二人のけなげな姿にうんうんと頷く翔子。
たかしは太助に先を越されてしまって、悔しそうにしていた。
ルーアンはといえば、何やら複雑な表情をしている。
乎一郎は何やら考え事をしているみたいで、時々頭を横に降ったりしている。
そのうちに考えがまとまったのだろうか。
ルーアンの手に手を重ねて(普段では考えられない行動だが)、
ルーアンに言った。
「ルーアン先生。まさかルーアン先生以上の能力を、
ヨウメイちゃんは持ってませんよね?」
「遠藤君・・・。もし、そうだ、といったらどうするの?」
「そんな!!・・・もしそうでも、僕は・・・。」
真剣な顔で震えている乎一郎に、ルーアンはふっと笑って言った。
「嘘よ。いくらヨウメイでも、幸せを授けるなんて芸当は持ってないわ。」
「そ、そうですよね。あー、良かった。」
安心して自分の行動に気付いたのか、
乎一郎は赤くなって慌てて手をどける。
「キリュウに関してもね。
試練に関してはキリュウより大した事ないはずよ。」
「でもルーアン先生。昨日出雲にやろうとしてたことって・・・。」
たかしの声に、ルーアンは笑って答えた。
「天罰だって言ってたでしょ。そういうことよ。
たー様もしっかり構えててよね。」
「は?天罰だとあんなにとんでもなくなるって事なのか?」
「そういう事。そんでもってシャオリン。」
「は、はい。」
ルーアンはシャオの方に向き直ったかと思うと、にこりとして言った。
「あんたもぽけぽけねえ。キリュウを本に封じた芸当、
あんたの星神でもできるでしょ。」
「ええ?そうなんですか?」
シャオにはまだ分かっていないようだ。そこで翔子がぽんと手を打つ。
「そうか、瓠瓜だ!良く考えたら瓠瓜に飲んでもらえば同じじゃないか!!」
「ご名答、さすがじょーちゃんね。
そういう事だからシャオリン、あんまり気落ちせずにしゃきっとしなさいよ。」
今度は少し厳しい目の顔で言うルーアン。
慌ててシャオは姿勢を正して答えた。
「はいっ、ルーアンさん!これからもきちっと太助様を守ります!」
「よろしい。はあ―あ、疲れた。自習にして良かったわあ・・・。」
年寄りっぽく肩を動かすルーアン。そんなルーアンを見た乎一郎は、
「あ、あのルーアン先生。肩を揉みましょうか?」
と、赤くなりながらも申し出た。ルーアンはあっさりとそれを受け入れ、
「あらそう?じゃあお願いするわね。」
と、くるりと乎一郎に対して背を向けた。さっそく肩揉みを始める乎一郎。
ルーアンが喋っている間、太助はそれを黙って聞いていた。
しかし、しばらくして笑顔になり、
「ルーアン、おまえってやっぱり教師が務まるんだな。
これからも頑張ってくれよ。」
と言った。それを聞いたルーアンは、
乎一郎の肩揉みも投げ出して、太助に抱きついた。
「あーん、誉めてくれてありがとう、たー様。
やっぱりルーアンて偉いわよねえ。」
「こ、こら。ひっつくなって。」
もがき苦しむ太助。皆はいつものその光景に大笑いする。
「でもルーアン先生、
それだったらどうしてあんなに深刻そうに言ったんですか?
シャオちゃんより守る力を持っているとか・・・。」
たかしが質問した。
すると、ルーアンは抱きつくのをやめてくるりと向いて言った。
「ちょっと冗談のつもりだったんだけど、ね。あはははは。」
その言葉にぽかんとする太助達。
そんな様子はお構い無しに、ルーアンは立ち上がって手をたたいた。
「はいはい、自習はもう終わりよ。さあ、授業の続きを始めるから!
こうして、再びルーアンの授業なるものが開始されるのであった。

≪第七話≫終わり


あとがき:タイトルは気にしないで下さい。無理矢理つけたものですから。
本来なら、この日の出来事を『強烈試練降臨!?』としてまとめるつもりだったんですけど・・・ね。
長さ的に無理矢理分けたわけなんです。あはははは・・・・。


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