小説「まもって守護月天!」(知教空天楊明推参!)


≪第十話≫
『強烈試練降臨!?(前編)』

そして放課後。気合ばっちりに鉢巻をした太助が、校庭で体をほぐしている。
そば・・・というよりは少し遠くの方で座って見ている、
シャオ、翔子、那奈、たかし、ルーアン、乎一郎。
キリュウはそれと反対側に、短天扇を構えて立っている。もちろん出雲も一緒だ。
「おーい、キリュウ。ヨウメイはどうしたんだ―?」
体を動かしながら尋ねる太助に、キリュウは校舎の方を向いて答えた。
「まだ花織殿達と何かやっているのだろう。心配せずとももうすぐ来る。」
キリュウが元の態勢に戻ったところで、出雲がぽんと肩を叩く。
「なんだ、宮内殿。」
「あのう、本当に大丈夫なんでしょうか。どうも私は心配で・・・。」
それを聞いて、キリュウは“はあ”とため息をついた。
「心配されるなと言っただろう。それにそなたはヨウメイ殿とも和解したのだ。
ヨウメイ殿に余計な感情が入らない限り、何も不安に成ることは無い。」
そこで出雲は首をかしげた。
「余計な感情?」
「そうだ。主殿に野次を飛ばそうものなら、即座にヨウメイ殿の天罰が来るはずだからな。
くれぐれもそう言うことはせぬように。」
「・・・分かりました。肝に銘じておきます。」
「うむ。」

一方、キリュウ達とは変えて、見物客達は・・・。
「ルーアン先生、僕達は何をすれば良いんですかね?」
「たー様の応援よ。ばっちりやってね。」
「それにしてもあの二人が同時にやる試練か。一体どんなだろうな・・・。」
たかしの言葉を聞いた那奈は、翔子にそっと耳打ちする。
「実はものすごいんだ。端から見ると死んじゃうんじゃ?って思うくらいに。」
「本当かよ、那奈ねぇ。こりゃシャオに言っとかないと・・・。」
そして翔子が顔を上げて、シャオの側へと寄った。
「シャオ、那奈ねぇの情報によると、試練は相当厳しいらしいぞ。」
「ええっ!?そうなんですか!?」
「そうだ。だから、試練が一段落ついたら、シャオは誰よりも早く七梨のもとに駆け付ける事。
そしてめいっぱい元気付けてやるんだ。分かったな?」
「はいっ、翔子さん。それじゃあ翔子さん、何か良い方法を教えてくださいませんか?
太助様がすぐに元気になれるような。」
「待ってました。それはな、ごにょごにょごにょ・・・。」
翔子の言葉を真剣に聞くシャオ。
一部始終を見ていた太助は、“また何か企んでるな”とか思いながらも、
準備運動をしっかり続けていた。

そうしている間に時間が経過。ようやく、ヨウメイ達四人が校舎から出てきた。
「遅いぞ、ヨウメイ殿。一体何をしておられた。」
「ごめんなさい。ちょっとお喋りに夢中に成っちゃって。
でも、いい試練思いついたんですよ。花織ちゃん達のおかげで。」
キリュウの方にヨウメイが行っている間に、
花織、熱美、ゆかりんの三人は、太助に挨拶しながら、見物席に腰を下ろす。
「七梨先輩、頑張ってくださいね!」
「今回の楊ちゃんは一味違いますよ!」
「試練、張り切って超えてくださいね!」
太助はそれに答えるように、笑顔で手を振った。
「ありがとう。俺頑張るから!!」
そしてキリュウ、ヨウメイ、出雲の方へと向き直る。
「さあ、みんなそろったことだし。始めてくれ!!」
勢いの良い声に笑顔のキリュウとヨウメイ。出雲も声援を送るような顔をしている。
かくして、太助への試練が開始されることとなった。

「ではまず、私から説明いたします。」
前に出たのはヨウメイ。彼女も気合が入っているようで、言葉に熱がこもっているようである。
「試練の内容は、大まかに言えば自然との一体化。
私が呼び出した自然現象をキリュウさんが大きく調節。そして私が細かく調節。
どうやったら試練終了かは、宮内さんがお手本を見せてくれます。
それではいきますよ。来れ・・・竜巻!」
ヨウメイの叫び声と共に、太助の背丈くらいの竜巻が現れた。
「では大きくするぞ、万象大乱!」
キリュウの声により、竜巻があっという間に3,4メートルくらいの大きさになる。
「さてと、微調整をして・・・と。じゃあ宮内さん,どうぞ。」
ヨウメイは出雲の方を振り向いたが、出雲は固まったままだ。
那奈はそれを見て、“昼休みを思い出してるんだろうな”とか思っていた。
「どうしたのだ,宮内殿。今日やったばかりではないか。」
「あの、キリュウさん。本気でやるんですか?」
冷や汗を流しながら聞いてくる出雲に、キリュウはぽかんとして言った。
「当たり前だ。そのために宮内殿に手伝ってもらうのだからな。」
「キリュウさんの言う通りですよ。さあ、早く。」
一緒になってせきたてるヨウメイ。しかし出雲は愕然として竜巻を見上げているだけだった。
あまりにも動きが無いので、太助は思わず尋ねてみた。
「なあ、ヨウメイ。一体何をすれば試練終了なんだ?」
「それをこれから宮内さんがやってくれるはずなんですけど・・・。
主様も昨日聞いたと思いますよ。竜巻に乗って空中散歩ですよ。」
「そうか・・・って、ええっ!!?無茶いうな、死んじゃうって。」
おののく太助に続いて、花織とルーアンが野次を飛ばす。
「そうだよ、楊ちゃん。七梨先輩の言う通りだよ。」
「まったくだわ!たー様を殺す気なの!?」
しかしヨウメイは、それを制するように言った。
「だから私が微調整して、主様が死んでしまわないようにするんです。
昼休みに宮内さんにもやってもらって、死なないって実験済みですよ。」
その声に皆がしんとなる。納得した・・・というわけではないようだ。
何人かは少し震えている。ヨウメイが首を傾げていると、キリュウが横からつついた。
「ヨウメイ殿、言い方が悪いぞ。」
「へっ?ああそうかそうか。失礼しました、証明済みです!
・・・これで良いんですね、キリュウさん。」
「そうだ。まったく・・・。」
小声で確かめ合う二人に呆れ顔になる太助。
たかしと乎一郎がひそひそと話をする。
「大丈夫か?あの二人・・・。」
「なんだか心配だね。」
「ほんと、いいコンビだわ。」
ルーアンがちょこっと付け足したところで、
ヨウメイが“おほん”と咳払いした。
「それじゃあ宮内さん。早くやっちゃってください。」
「あの、ヨウメイさん。一体どうすれば・・・。」
いまだためらっている出雲に、キリュウが不思議そうな顔をして言った。
「昼間やったではないか。上手く竜巻上に着地だ。もう忘れたのか?」
「い、いえ。私はそれをきちんとやってないもんですから・・・。」
ついには震え出した出雲。
ヨウメイは“はあ”とため息をついて統天書をめくり出した。
「!!ちょ、まってくださ・・・」
「来れ、上昇気流!!」
待ったをかける出雲を無視して、突然激しい風が吹いた。
出雲はその影響で舞い上がり、竜巻の上空へと向かう。
「ふえー、すごいなあ・・・。」
「主様、宮内さんをよーく見ててくださいよ。」
「隠していたが、昼間も同じ事をやったのだ。
良い手本を見せてくれるに違いないぞ。」
ヨウメイとキリュウの言葉に那奈は心の中で、
“宮内は成し遂げたわけじゃないだろ。手本なんて無理だよ”と突っ込みを入れた。
空へと飛ばされた出雲を見上げる見物客達。
「すっごーい、出雲さんて空を飛べたんですね。」
「違うってシャオ・・・。でもすごいよなあ、空中散歩なんて。
確かに那奈ねぇの言う通り、本格的だ。」
その那奈は無言のまま空を見つづけている。
「昨日言ってたことを実行するなんて、さっすが楊ちゃんね。」
「あれ?熱美ちゃん達は知らなかったの?」
「そうなんですよ、遠藤先輩。楊ちゃんたら全然話してくれないもんだから。」
「ゆかりんが無理に聞こうとするからいけないんじゃない。
そうそう、これとは違うけど、あたし達がいっしょになって考えた試練もちゃんと有りますから。」
「花織は乙女チックだからねえ。先輩、見たら驚きますよ。」
「へえ、そうなんだ・・・。」
横で聞いていたルーアンが、チラッと振り返って言う。
「くだらないものじゃないでしょうね。」
「ひっどーい。例えばルーアン先生が考えるような、
お弁当百個早食いとかいう試練じゃないですよ〜だ。」
「な、なんですって―!?もう一度言ってみろ―!!」
「まあまあ落ち着いて、ルーアン先生。
ほら、もうすぐ出雲の奴が竜巻に到着しますよ。」
たかしのなだめの声に、言い争っていた面々は、素早く上の方を見た。
“何やってんだ”と思いつつ見物客を見ていた太助も。
叫び声をあげながら落ちてくる出雲。昼休みと違って、見事竜巻の上に着地!
・・・は出来なかった。風の渦に巻き込まれ、
声にならぬ声を上げながら無情にも廻されつづけている。
「失敗しましたね。おっかしいなあ、昼間あれだけやったのに。」
「たまたま調子が悪かったのだろう。もう一度やってもらおうではないか。」
二人は落ち着いて喋っていた。
「・・・失敗するとああなるのか。悲惨だな・・・。」
ぼそっとつぶやいた翔子に、皆が深刻な顔で振り返る。
太助は太助で、驚愕の表情のまま固まっていた。

「宮内さん、もう一回いきますから―!来れ・・・上昇気流!!」
「う、うわー!!」
二度目、空高く舞い上がる出雲。しかし今度はさっきよりも更に高く上がった。
「あらら、ちょっと高くしすぎちゃった。まあいっか。」
「少しいらだってないか?ヨウメイ殿。ちゃんと落ち着かれよ。」
「あ、はい。分かってますって。」
何気なく会話する二人。太助はふと我に帰って、二人に聞いてみた。
「あ、あの、二人とも。結局これは何をすればいいの?」
「だから主様、竜巻に乗って・・って、宮内さんを見ててくださいって。
一回失敗したくらいで聞いてくるなんてせっかちですよ。」
「それで、失敗したらヨウメイの力で飛ばされるんだ。」
太助が力なく言うと、キリュウがそれを否定した。
「それは違うぞ主殿。本来なら自分で竜巻を登るべきなのだ。
しかしそれは時間がかかるので、短縮のためヨウメイ殿の力を使っている、という訳だ。」
それを聞いた太助、そして見物客達は目が点になった。(もちろん那奈も)
いくらなんでも竜巻を登るなど非常識にもほどがある。
「大丈夫ですよ、主様。私がしっかり調整してますから死ぬわけありませんて。」
「いや、そういう訳じゃなくて・・・。」
けたけた笑うヨウメイに、太助は気が遠くなりそうになった。
一方、見物客達は・・・。
「ますますめちゃくちゃだな。
シャオ、あたしがさっき言ったこと、なにがなんでも実行しろよ。」
「はい、気を引き締めて頑張りますわ。」
「しっかし竜巻を登るだなんて・・・。宮内の奴は幸運だったのかな。」
「太助もつくづく不運な奴。親友として同情するぜ。」
「こうなったらしっかり応援しなきゃ。ね、ルーアン先生。」
「その通りよ、遠藤君。たー様―!!ファイトよ―!!」
「むっ、ルーアン先生に負けてたまるもんですか。
七梨せんぱ―い!!頑張ってくださーい!!」
黄色い声援が飛ぶ中、太助は少しだけ笑って手を振って返した。
その元気の無い様子を見て熱美とゆかりんは、
「ねえゆかりん、なんとなく逆効果のような。」
「そうだね。なんだか七梨先輩、ますます落ちこんじゃってるよ。」
と、しっかりと見ぬいていたりする。
「頑張っても何も、主殿はこれから試練をするのだぞ。」
「だからキリュウさん、これは励ましですって。さて、そろそろ降りて来るころね。」
ヨウメイがそういって見上げると、果たして出雲が落下してきた。
今度こそ綺麗に着地!!・・・は、当然出来なかった。
今度は声も立てずになすがままに廻されている。
呆れ顔になったキリュウとヨウメイは、ふうとため息をついたかと思うと、
「万象大乱。」
「来れ・・・小上昇気流。」
と、竜巻を消して出雲をゆっくりと地面に下ろした。
目を廻して横たわっている出雲に二人が静かに近寄る。
「宮内殿、なんだこの体たらくは。ちゃんと手本を見せてくれなければ困るぞ。」
「そうですよ。これじゃあ何の為にやったんだか分からないじゃないですか。」
疲れと二人の迫力により、出雲は反論できないでいた。
その時、那奈がすっくと立ちあがった。
「あのさあ、二人とも。宮内は昼休みに試練を超えたわけじゃないだろ。
だから手本を求めるなんて無理があるって。
だいたい、あれとは別の試練のはずじゃあなかったのか?」
那奈の声にヨウメイがキリュウをさっと見る。
「キリュウさん、そんなこと言ったんですか?」
「なぜ私がそんなことを。私はただ、昼休みのそれより難易度を下げると言っただけだ。」
それを聞いて、出雲がうめきながら言った。
「あの〜、もう少しやさしくしてもらえませんか?
あまりにも無理がありすぎますよ・・・。」
ヨウメイは出雲を見下ろした。
「あのね、宮内さん。昼休みは十メートル・・・も無かったけど、
かなり大きな竜巻だったんですよ。今やってたのは3,4メートル。
軽いもんじゃないですか。」
「しかも強さも弱めてあったはずだ。それでも無理だというのか?」
そこで思い返して見る那奈と出雲。確かに竜巻の威力と大きさは弱まっている。
「でもさあ、だからってあんな・・・。まあいっか。太助次第だ。」
那奈はそう言うと座った。みんなが太助に注目する。
いきなりの視線におどおどとしていたものの、
やがてきりっとした表情へと変わった太助だった。
「なんとか頑張ってみるよ。確かに難しそうだけど、
せっかく二人が、そして出雲が協力してくれたんだ。
泣き言を言う前にとりあえずやってみないとね。」
その声に歓声や拍手が沸き起こる。ヨウメイはにこっとして告げた。
「さすがは主様ですね。じゃあいきましょうか、キリュウさん。」
「うむ、頼もしい限りだな。」
そして二人がそれぞれの道具を構える。
「来れ、竜巻!」
「万象大乱!」
そして最初と同じような竜巻が同じ場所に出現した。(もちろん出雲は別の場所に居る)
「さてと。とりあえず竜巻の中に入ってそれを登って・・・どうすりゃいいんだ?」
尋ねる太助に、キリュウがさらりと答えた。
「空中散歩。要は、竜巻の頂上に立てという事だ。
一秒でも立っていられたならそこで試練終了という訳だ。」
「竜巻についてはちゃんと私が管理してますからご心配なく。」
「分かった。よーし、いっくぞー!!」
気合の入った声で叫ぶと同時に、太助は竜巻へ突っ込んで行った。
当然そこからどんどん登って行く・・・訳ではなく、
出雲と同じようにしっかりと廻されている。
「うわああ、目がまわるうう〜。」
悲惨な叫び声を上げる太助を見て、ぽかんとする見物客達。
「カッコつけていったくせに・・・。太助ー!しっかりしろ―!」
「それじゃあ出雲さんと一緒だよ―!」
叫ぶたかしと乎一郎。しかし太助にそんな声を聞いている余裕は無く、
ただひたすら廻されていた。
しばらくの間なすすべもなく太助は廻されつづける。
「たー様―!負けないで―!」
「七梨先輩、いつもの元気見せてくださーい!」
声援が飛ぶも、変化を見せない様子に、翔子は少しあきらめ気味に言った。
「あちゃあ、やっぱ予想通り・・・シャオ、落ち着けよ。」
ふと隣を見た翔子は、シャオが心なしか震えているのに気がついた。
「大丈夫です、翔子さん。太助様ならきっと・・・。」
「そうそう、太助を信じて、な。」
横から那奈も言ってくる。シャオとしては、今すぐにでも飛び出したかった。
しかし、休み時間に太助に言われた事、“シャオはいつも通りで居てくれ”
を思い出して、懸命に我慢していたのだ。
苦しい表情を見せるシャオ。それを見て翔子は立ちあがって叫んだ。
「情けないぞ七梨―!!おまえがしっかりしないからシャオが苦しんでるんだ!
そんな程度の試練、さっさと超えちまえ―!!」
当然皆はそれに注目する。見るからにこれはそんな程度の試練ではないのだから。
ヨウメイとキリュウはというと、黙って竜巻の中の太助を見ていた。
とその時、太助がぴくっと反応したようだ。
廻されながらも態勢を立て直し、なんと本当に竜巻を登り始めた。
登るといっても山ではないから、空中を手掴みで泳いでいるような、そんな感じだ。
「そうだ、こんなところでつまっててたまるかー!!」
太助の元気のいい声に、皆が立ちあがって懸命にその様子を見る。
もちろんシャオもその中に混じっていて、明るい笑顔を見せている。
そんなシャオを翔子がつつく。
「シャオ、今だ。おもいっきり。」
「はいっ。太助様―、頑張ってくださーい!!」
シャオのその声に呼応したように、太助の登る速度が上がった。
見る見るうちに、頂上まで後少しとなった。
「さすがだな、主殿。宮内殿とはえらい違いだ。」
「キリュウさん、そんな人と主様を比べちゃあいけませんよ。
でもさすが、シャオリンさんのためとなると段違いにすごいですね。
こりゃあ、こっちもますます頑張らないと。」
二人がそんな言葉を交わしているうちに、とうとう太助は竜巻のてっぺんに到着した。
くるーりくるーりと廻されながらも、なんとか立とうとする。
「くっ、もうちょっと・・・。」
上半身を竜巻外に出すも、すぐにバランスを崩して沈みそうになる。
なんと言ってもつかみ所のない空中に居るのだから当然である。
さっきまで声を上げていた見物客達は、しんと静まり返って太助を見守っていた。
そして待つこと数分。ついに太助は頂上へと立った。
手足をばたばたさせながらバランスを保ち、なんとか立っている。
「お、おーい、キリュウ、ヨウメイ!これで良いのかあ!?」
太助の声に“おおー!”という顔をするヨウメイとキリュウ。
「見事だ!よくぞこの短時間で成し遂げた!合格だ!!」
「さっすが主様!!やっぱり違いますねえ。」
そして二人が道具を構えて竜巻を消そうとした時、太助はうっかりバランスを崩してしまった。
「うわあああっ!!」
竜巻の外側へ倒れて、まっ逆さまに地面へと落ちてゆく。
「た、太助!!」
「たー様!」
見物客の何人かから悲鳴が聞こえる。それと同時に、
「来々、軒轅!!」
どいう声も聞こえた。シャオが軒轅を瞬時に呼んだのである。
軒轅はシャオを乗せたまま、素早く太助のもとへと飛んだ。
地上からぎりぎりのところで、危うく太助を拾い上げる。
それを見て、見物客達は安堵のため息を漏らしながら腰を下ろした。
「さすがはシャオリンさん。立派に守護月天してますね。」
「ヨウメイ殿、一つ安心できたな。シャオ殿が居る限り、予想外の事故は防げそうだ。」
「そうですね。どんどんシャオリンさんに頼ることにしましょう。」
「いや、それはちょっと違うのでは・・・。」
キリュウとヨウメイは話をしながら竜巻を消す。
見物客から拍手が沸き起こっている中で、太助はシャオにお礼を言っていた。
「ありがとうシャオ。なんだかんだ言って、結局助けてもらっちゃったな。」
「そんな。それより太助様、見事試練を超えられて、立派でしたわ。」
「いやあ、シャオのおかげだよ。ほんとありがとな。」
「太助様・・・。」
下の様子はお構いなしに、軒轅の上でいい雰囲気になる二人。
翔子と那奈は手をぱちんと叩き合わせて、OKサインを出していた。
しかしもちろん空のそんな情景を快く思わないものも居る。それは・・・。
「コラ―!いつまでも二人っきりで居ないで下りてきなさいよ―!!」
「ルーアン先生の言うとおりだ―!!
太助ー!試練を一つ超えたからってシャオちゃんを独り占めしてんじゃね―!!」
「シャオ先輩ずるいですぅ―!!」
そう、ルーアン、たかし、花織の三人である。
残りの人達は、とりあえず拍手をしながらそれをただ見ていた。
そしてようやくもとの位置、(つまり太助が試練の位置に立った状態。)
に戻り、次の試練開始となった。

≪前編終わり≫


あとがき:あんまり前後編に分ける意味は無かったような気がしたんですが、まあ一応。
相変わらず無茶な小説ですが、これからもそれは続きます。
まあ、苦笑いしながらとか、気分の赴くままに読んでやってください。


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